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感染症の出勤停止・就業制限の一覧:法律で休ませる病気と、会社が決める病気・給料の扱い

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社員がインフルエンザや新型コロナ、ノロウイルス、結核などにかかったとき、休ませるのは法律の決まりでしょうか、それとも会社の判断でしょうか。法律で仕事が制限されるのは、結核や腸管出血性大腸菌感染症(O157など)などの一部の病気だけで、インフルエンザや新型コロナには、職場の出勤停止の決まりはありません。このコラムでは、病気ごとに「法律の決まりがあるか」と休むめやすを一覧にし、休む間の給料の扱いと、就業規則で決めておくことをまとめます。

この記事でわかること

  • 社員を休ませる根拠の3つ(感染症法・労働安全衛生規則・会社のルール)
  • 病気ごとの一覧:法律の制限があるか、休むめやすはどれくらいか
  • 会社が就業を禁止するときに、前もってすること
  • 休む間の給料の扱い(病気休暇・傷病手当金・休業手当)
  • 就業規則で決めておくことと、出勤を始めるときの確かめ方

01休ませる根拠は、3つに分かれます

感染症にかかった社員が仕事を休む根拠は、法律の決まり2つと、会社のルールの3つに分かれます。

感染症法

都道府県知事の「就業制限」

結核やO157などにかかった人に、保健所から書面で通知されます。決められた仕事に、一定の期間つけなくなります

労働安全衛生規則 第61条

会社がする「就業禁止」

人にうつすおそれのある伝染性の病気にかかった人の就業を、会社が禁止します。前もって医師の意見を聴きます

会社のルール

就業規則などのめやす

インフルエンザや新型コロナなど、法律の決まりがない病気は、会社が休むめやすを決めます

インフルエンザと新型コロナは、法律の出勤停止の対象ではありません

季節性インフルエンザと新型コロナ(2023年5月8日から5類感染症)は、感染症法の就業制限の対象ではありません。学校には出席停止の決まりがありますが、子どもなどに向けた決まりで、会社の社員にはそのままあてはまりません。会社のめやすを決めるときの参考にします。

02病気ごとの一覧:法律の制限と、休むめやす

職場でよく問題になる病気について、法律で仕事が制限されるかと、休むめやすをまとめました。「学校」とあるのは学校の出席停止の期間で、会社のめやすを決めるときの参考です。

病気(感染症法の分類)法律による仕事の制限休むめやす(参考)
結核(2類)あり:接客業その他の、多くの人に接する仕事。菌を持たなくなるか、症状が消えるまで職場に戻る時期は、保健所と主治医に確かめます
腸管出血性大腸菌感染症(O157など)・細菌性赤痢・コレラ・腸チフス・パラチフス(3類)あり:飲食物の製造・販売・調理など、飲食物に直接ふれる仕事。症状がない保菌者も、菌を持たなくなるまでほかの仕事は、症状と主治医の判断で決めます
新型インフルエンザ等感染症(新しい型のインフルエンザなどが出たとき)あり:飲食物に直接ふれる仕事と、接客業など多くの人に接する仕事保健所の判断にしたがいます
季節性インフルエンザ(5類)なし学校:発症した後5日を経過し、かつ、熱が下がった後2日(幼児は3日)を経過するまで
新型コロナ(5類)なし学校:発症した後5日を経過し、かつ、症状が軽くなった後1日を経過するまで
感染性胃腸炎(ノロウイルスなど)(5類)なし症状がある間は休むなど、会社で決めます。調理の仕事は、国のマニュアルで、検便でウイルスがないことを確かめるまで調理を控えることが望ましいとされています
麻しん(はしか)(5類)なし学校:熱が下がった後3日を経過するまで
風しん(5類)なし学校:発しんが消えるまで
水痘(水ぼうそう)(5類)なし学校:すべての発しんがかさぶたになるまで
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)(5類)なし学校:耳の下などの腫れが出た後5日を経過し、かつ、全身の状態がよくなるまで
百日せき(5類)なし学校:特有のせきが消えるまで、または5日間の適正な抗菌薬の治療が終わるまで
流行性角結膜炎(はやり目)(5類)なし学校:医師が、うつすおそれがないと認めるまで

感染症法 第6条・第18条、同施行規則 第11条、学校保健安全法施行規則 第18条・第19条。1類のエボラ出血熱など、2類のジフテリアなども就業制限の対象です。インフルエンザなどの学校の基準には、医師がうつすおそれがないと認めたときはこの限りでない、という決まりもあります。

法律の就業制限は、本人に書面で通知されます

  • 就業制限は、保健所(都道府県知事)から本人に書面で通知されたときにかかります。会社は、本人から通知の内容を聞き、制限される仕事につかせないようにします。
  • 国の通知は、本人が自覚して自分から休むことや、制限の対象でない仕事に一時的につくことで対応するのが基本だとしています。どの仕事ならしてよいかは、保健所に確かめます。
  • 制限が終わったかどうかは、保健所が検査の結果などで確かめます。本人は、制限の対象でなくなったことの確認を、保健所に求めることができます。

詳しくは『社員が結核と診断されたら? 保健所の調査・接触者健診への協力と、休み・復職・職場への伝え方』『職場の食中毒予防:お弁当・社員食堂・社内行事で気をつけることと、調理する社員の検便・就業制限』職場のインフルエンザ対策:出勤停止の考え方と、広げないために会社がすること『職場のノロウイルス対策:社員が吐いたときの処理と消毒液の作り方、出勤のめやす』『職場の麻しん(はしか)・風しん対策:社員がかかったときの対応と、ワクチン2回の確かめ方』

03会社が就業を禁止するとき(労働安全衛生規則 第61条)

法律の就業制限とは別に、労働安全衛生規則 第61条は、会社に、病毒伝ぱのおそれのある伝染性の病気にかかった人の就業を禁止するよう求めています。

  • 前もって、産業医などの医師の意見を聴きます。就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見を聴かなければなりません(第61条第2項)。
  • 国の通達が例に挙げているのは、結核です。この条文にあたる人として、国の通達は「伝染させるおそれが著しいと認められる結核にかかっている者」を挙げています。ほかの病気にあてはめるかは、医師の意見をふまえて判断します。
  • うつさない手立てがとれれば、禁止しなくてよいとされています。伝染予防の措置をしたときは、この限りでないとされています(第61条第1項ただし書)。

「とりあえず全員休ませる」の前に、産業医に相談を

法律の決まりがない病気で、会社の判断で一律に休ませると、休業手当が必要になることがあります。休ませるかどうかは、症状と仕事の内容をふまえて、産業医に相談して決めましょう。

04休む間の給料の扱い

給料の扱いは、「なぜ休むのか」で分かれます。

休むわけ給料の扱い(考え方)
病気で働けない
熱がある、医師に休むよう言われた など
年次有給休暇や、会社の病気休暇を使います。仕事を休んだ日が3日続いたあと、4日目から、健康保険の傷病手当金の対象になります
法律の就業制限で、仕事ができない国は、新型コロナが就業制限の対象だったとき、一般的には休業手当を払う必要はないと考えられるとしていました。制限の対象でない仕事につけるかも考えます
働けるのに、会社の判断で休ませる
家族がかかった、症状があるというだけで一律に など
一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたり、休業手当(平均賃金の6割以上)を払う必要があります

労働基準法 第26条、健康保険法 第99条、厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」から、このコラムでまとめました。一人ひとりの場合の判断は、労働基準監督署や社会保険労務士にも確かめてください。

詳しくは『傷病手当金とは? 休職中の社員を支えるお金と、会社がする手続き』職場のインフルエンザ対策:出勤停止の考え方と、広げないために会社がすること

05就業規則で決めておくことと、出勤を始めるとき

感染症は、流行してから決めると、社員ごとに扱いがばらばらになりがちです。次のことを、就業規則などで前もって決めて、社員に知らせておきます。

就業規則などで決めておくこと

法律で休む
感染症法の就業制限や、労働安全衛生規則 第61条の就業禁止にあたるときは、その仕事につかせないこと。
会社のめやす
休んでもらう病気と日数。インフルエンザや新型コロナなど、法律の決まりがない病気が対象です。学校の出席停止の期間などを参考にし、産業医の意見もふまえます。
給料の扱い
休む間が、年次有給休暇・病気休暇・休業手当のどれにあたるか。
家族の感染
家族がかかった社員の出勤の扱いと、休ませるときの給料。
連絡と出勤
誰に連絡するか、出勤を始めるときに何を確かめるか。

出勤を始めるとき:証明書は求めなくて大丈夫です

国の冬の感染症のQ&Aは、インフルエンザなどにかかったことの証明書や、治ったことの証明書(治癒証明書・陰性証明書)は、医療機関に負担がかかることなどから、職場が社員に提出を求めることは望ましくなく、提出は不要だとしています。本人の症状と、会社のめやすで判断します。

結核や、腸管出血性大腸菌感染症などで就業制限を受けた人は、保健所が検査の結果などで制限の終わりを確かめます。職場に戻る時期は、保健所と主治医に確かめます。

職場で広がったとき

  • 同じ症状の人が続けて出たら、出勤している人の体調を確かめ、症状のある人には休んでもらいます。
  • 社員食堂のように食べ物が原因かもしれないときや、同じ症状の人が多いときは、保健所に相談します。
  • 衛生委員会で、手洗い・換気・消毒・ワクチンなど、ふだんの対策と、流行したときの決まりを話し合います。

詳しくは衛生委員会の開き方:毎月の議題の例と、議事録の書き方『就業規則はいつ作る? 変更の手続きと、休職・復職・健康診断など健康管理の規定の決め方』

休ませるかどうかの判断や、会社のめやすづくりは、医師の意見を聴きながら進めると迷いが減ります。

津山産業医事務所なら

  • 1

    衛生委員会で、めやすづくりから

    衛生委員会への出席や衛生講話を通して、職場の感染症のめやすと、ふだんの対策を一緒に考えます。

  • 2

    職場巡視で、うつさない環境を

    職場巡視で、手洗いの設備や換気、休養室など、職場の環境を確かめます。

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    訪問は14府県が中心で、代表の産業医が自ら職場に伺います。オンラインの面談は全国に対応しています。

おわりに

このコラムのまとめ

  • 感染症で社員が休む根拠は、感染症法の就業制限、労働安全衛生規則 第61条の就業禁止、会社のルールの3つです。
  • 法律で仕事が制限されるのは、結核、O157などの3類感染症、新型インフルエンザ等感染症などで、季節性インフルエンザや新型コロナは対象ではありません。
  • 会社が就業を禁止するときは、前もって産業医などの医師の意見を聴きます。
  • 働けるのに会社の判断で休ませると、休業手当が必要になることがあります。
  • 休むめやすと給料の扱いは就業規則などで決め、出勤を始めるときの証明書は求めなくて大丈夫です。

感染症は、冬に向けて流行が大きくなります。法律の決まりと会社のルールを分けて整理し、流行の前に、休むめやすを社員に知らせておきましょう。

インフルエンザの対策は、こちら職場のインフルエンザ対策:出勤停止の考え方と、広げないために会社がすること

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「うちは対象?」「何から始めればいい?」という段階から、お気軽にご相談ください。

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出典

このコラムは、2026年10月時点の内容で書いています。