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休職の診断書が出たら、会社はどうする? 受け取った日から休み始めるまでの対応

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休職の診断書が出たら、会社はどうする? 受け取った日から休み始めるまでの対応のイメージ画像

「しばらく休むように言われました」と、部下から主治医の診断書を渡された。急なことで、会社は何から手をつければよいか迷いがちです。国の「職場復帰支援の手引き」では、休職は、この診断書の提出から始まります。このコラムでは、診断書を受け取った日から、社員が休み始めるまでに会社がすることを、順番にまとめます。

この記事でわかること

  • 診断書を受け取ったら、最初にすること
  • 診断書で確かめる4つのこと
  • 就業規則で確かめること
  • 休み始める前に、本人に伝えること・決めておくこと
  • 職場への伝え方と、診断書の扱い方
  • 迷うときの進め方

01受け取ったら、最初にすること

国の手引きでは、休み始めの対応を、次のように示しています。

  1. 1

    話を聴いて、安心してもらう上司

    診断書を受け取ったら、まず本人の話を聴きます。国の手引きでは、休み始める社員には、療養に専念できるよう安心させることが大切だとしています。

  2. 2

    人事と産業医に知らせる上司

    診断書が出たことを、人事と産業医などに連絡します。診断書は健康情報なので、決めた人だけで扱います。

  3. 3

    診断書と就業規則を確かめる人事・産業医

    休む必要と期間の見込み、会社の休職の決まりを確かめます(このあと説明します)。

  4. 4

    本人に、手続きと流れを説明する人事・上司

    休職中の手続きと、復職までの流れを説明します。休職を申請する書類があれば、出してもらいます。

産業医との面談も考えます

国のパンフレットにある「私傷病による職員の休業及び復職に関する規程(例)」では、休業の申し出があったとき、会社が産業医(または人事)との面談を命じることができる、としています。休み始める前に産業医が本人と話しておくと、本人の状態をふまえて、休職中の連絡のしかたなどを決めやすくなります。

体の病気で休むときも、同じ流れです

「治療と就業の両立支援指針」(2026年4月から)でも、会社が、主治医や産業医などの意見をふまえて長く休む必要があると判断したときは、休業の制度(給料の扱いと手続きを含む)、休める期間、職場復帰の手順を本人に伝え、休業の申請書類を出してもらって休みを始める、としています。治療の見込みが立てやすい病気では、休み始めのときに、休みが終わるめやすもつかんでおきます。

02診断書で確かめる4つのこと

診断書の書き方は、医療機関によってちがいます。会社が確かめたいのは、次の4つです。

  1. 1

    病名・状態

    とくに心の不調の病名は、誤解や偏見を招きやすいため、慎重に扱います。職場で配慮するために必要な情報に、具体的な病名は必ずしも含まれないとされています(国の手引き)。

  2. 2

    休む必要があるか

    「休む必要がある」のか、「配慮をすれば働ける」のか。働ける場合は、このあとの「配慮をすれば働けると書かれていたら」の流れになります。

  3. 3

    期間の見込み

    いつから、どのくらい休む見込みか。休職の期間や、復職の準備の計画を考えるもとになります。

  4. 4

    働き方についての意見

    働きながら治療する場合の、避けたほうがよい作業や、残業の制限などについての主治医の意見です。

診断書の図はイメージです。実際の診断書の形や書かれる項目は、医療機関によってちがいます。

期間の見込みが書かれていないとき

国の手引きでは、復職の準備を計画的に進められるよう、診断書には療養にかかる期間の見込みも書いてもらうのが望ましいとしています。書かれていないときは、本人を通して主治医に確かめてもらいます。会社から主治医に直接たずねるときは、目的を伝えて、本人の同意を得てからにします。

「配慮をすれば働ける」と書かれていたら

診断書が「休む必要がある」ではなく、「残業をしないなどの配慮をすれば働ける」という内容のこともあります。「治療と就業の両立支援指針」では、次の流れで、働き続けられるかを会社が判断するとしています。

  1. 1

    主治医の意見を産業医に伝え、意見を聴く人事・産業医

    働き続けられるか、どんな配慮が必要かについて、産業医の意見を聴きます。産業医がいない会社は、主治医の意見を参考にします。

  2. 2

    本人の希望を聴いて、話し合う本人・上司・人事

    働き続けたいか、どんな配慮を望むかを聴き、十分に話し合って、本人の了解を得られるようにします。

  3. 3

    会社が、働き続けられるかと配慮の内容を決める会社

    配慮の内容と、いつからいつまで行うかを決めます。

病気になったことだけで、仕事を止めない

指針では、病気になったことだけを理由に安易に働くことを禁止せず、主治医や産業医などの意見をふまえて、できるかぎり配置転換や作業時間の短縮などで、働く機会をなくさないよう気をつけるとしています。

詳しくは『治療と仕事の両立支援とは? 病気の社員から相談されたら、会社がすること(2026年4月から努力義務)』『診断書の「適応障害」「うつ状態」「自律神経失調症」とは? 会社が知っておきたい病名の読み方と、確かめること』

03就業規則で確かめること

休職の決まりは、法律では決まっていません。国のモデル就業規則の解説でも「休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労基法に定めはありません」とされています。休職がいつから始まり、どのくらい休めるかは、会社の就業規則で確かめます。

就業規則で確かめることの例

診断書を出す決まり
モデル就業規則では「傷病のため継続して○日以上欠勤するときは、医師の診断書を提出しなければならない」という例を示しています。何日からにするかは、会社ごとに決めます。
休職が始まるとき
すぐに休職にするのか、欠勤が続いてから休職にするのか。モデル就業規則の例は、業務外の病気やけがによる欠勤が○か月を超え、まだ療養が必要で働けないときに、休職とする形です。
休職できる期間
同じ病気で休める最長の期間。勤めた年数によって、期間を分ける例もあります。
休職中の給料
休職中に給料を払うかどうか、払うならどのくらいか。
期間が終わったときの扱い
モデル就業規則の例は、休職期間が終わっても治らず、働くことがむずかしいときは、期間が終わった日に退職とする形です。

国のモデル就業規則(第9条・第18条)と、国のパンフレットにある規程の例をもとにまとめました。

年次有給休暇と、傷病手当金

休職の前に、年次有給休暇を使うかどうかも確かめます。年次有給休暇は、本人が請求した時季に与えるものです(労働基準法 第39条)。使うかどうかは、本人の希望を聞きます。そのとき、健康保険の傷病手当金との関係も伝えておくと、本人が選びやすくなります。

  • 傷病手当金は、連続3日休んだあと、4日目から
    この3日(待期)には、年次有給休暇や、土日・祝日などの休みの日も含まれます。
  • 給料が出ている日は、傷病手当金は出ません
    年次有給休暇を使った日も同じです。給料が傷病手当金より少ないときは、その差額が出ます。
  • 仕事が原因の病気やけがは、対象になりません
    仕事が原因のもの(労災)は、労災保険の対象です。

協会けんぽの場合。健康保険組合に入っている会社は、組合の決まりも確かめてください。

詳しくは『傷病手当金とは? 休職中の社員を支えるお金と、会社がする手続き』『休職期間が満了したら? 復職できないときの退職の扱いと、会社が前もってすること』『診断書の費用は誰が払う? 休職・復職・傷病手当金・労災など、書類ごとの負担と就業規則での決め方』『就業規則はいつ作る? 変更の手続きと、休職・復職・健康診断など健康管理の規定の決め方』

04休み始める前に、本人と確かめること

休み始めたあとは、本人と話す機会が少なくなります。休み始める前に、次のことを伝え、決めておきます。

本人に伝えること

  • 休める期間と、その間の給料の扱い
  • 傷病手当金などの制度と、手続きのしかた
  • 復職したくなったときの流れ(主治医の診断書を出すことなど)
  • 不安や悩みを相談できる先(社内の窓口、社外の相談機関)

本人と決めておくこと

  • 会社の連絡の窓口と、連絡の方法
  • 連絡するタイミング(診断書や傷病手当金の申請書を出す時期に合わせるなど)
  • 主治医と連絡をとるときの進め方(そのつど、本人の同意を得ます)
  • 本人と連絡がとれないときの連絡先(家族など)

国の手引きと「治療と就業の両立支援指針」をもとにした例です。

決めることは、本人の負担に気をつけて

国の手引きでは、心の不調の症状によっては、日常の細かな選択や決定が大きなストレスになることがあるため、同意を求めるときなどに配慮が必要だとしています。手続きの説明は、関係機関のパンフレットを渡すなど、あとで本人や家族が見返せる形にすると、負担を軽くできます。

詳しくは『休職中の社員への連絡、会社はどうする? 頻度・窓口・伝えることと、気をつけること』

05職場への伝え方と、診断書の扱い

心の健康の情報は、とくに慎重に扱う必要がある個人情報です。一方で国のメンタルヘルス指針では、上司や同僚の理解と協力のために、情報を適切に使うことが必要な場合もあるとしています。何をどこまで伝えるかは、本人と相談して決めます。

職場に伝えること本人と相談して

  • しばらく休むこと
  • 休む期間のめやす
  • 仕事の分担と、問い合わせの窓口

職場に伝えないこと

  • 病名
  • 診断書の中身
  • 本人が話したくわしい事情

国の手引きと指針の考え方をもとにした例です。

診断書は、扱う人を決めて保管する

  • 診断書などの健康情報は、人事や産業医など、前もって決めた人がまとめて管理します。職場で回覧したり、ほかの書類と一緒にしたりしません。
  • 扱う人とその範囲、守秘のルールは、衛生委員会などで話し合い、社内の決まりにしておきます。
  • 心の健康の情報を理由に、解雇や退職のすすめなど、本人に不利益な扱いをしてはいけません。

仕事を分担する同僚への配慮も

「治療と就業の両立支援指針」では、配慮によって同僚や上司に負担がかかるときは、配慮に必要な情報に限ったうえで、できるかぎり共有して理解を得て、負担がかかりすぎないようにするとしています。休む人の仕事を分担する同僚にも、同じ考え方があてはまります。

06迷うときの進め方

本人は、休まずに働きたいと言っている

診断書で休む必要があるとされているときは、その意見を重く受け止めます。本人の気持ちも聴いたうえで、産業医の意見をふまえて会社が判断します。会社には、社員が安全に、健康に働けるよう配慮する責任(安全配慮義務、労働契約法 第5条)があります。

欠勤が続いているのに、診断書が出ていない

就業規則で、何日休んだら診断書を出すかを決めていれば、その決まりに沿って出してもらいます。本人と直接連絡がとれないときは、家族などと連携して、必要な情報を集めることもあります(両立支援指針)。

本人から「仕事が原因だ」と言われた

仕事が原因の病気は、労災保険の対象になることがあります。労災保険は本人が請求し、労災にあたるかどうかは労働基準監督署が調べて決めます。会社は、請求に必要な証明を求められたら、すみやかに証明します(労災保険法施行規則 第23条)。また、仕事が原因の病気で療養のために休む間と、そのあと30日間は、原則として解雇できません(労働基準法 第19条)。

休職の決まりがない・休める期間が短い

休職は法律で決まった制度ではないので、会社ごとに決めます。国の手引きでは、休める最長の期間や、期間が終わったあとに雇用契約を終える場合などは、法律の制約に気をつけて労使で十分に話し合って決め、前もって就業規則などで定めて社員に知らせておくのが望ましいとしています。社員が常時10人以上の事業場は、就業規則を作って届け出る義務があります(労働基準法 第89条)。決まりを作ったり変えたりするときは、社会保険労務士などの専門家にも相談しましょう。

産業医がいない(50人未満の会社)

人事や上司、衛生推進者などが中心になって進めます。地域産業保健センターなど、外部の支援も使えます。

詳しくは『仕事中のけがに健康保険は使えません:労災保険との使い分けと、会社の手続き』『安全配慮義務とは? 労働契約法5条で会社が負う責任と、違反を問われないために日ごろからすること』

07受け取ったときのチェックリスト

診断書を受け取ってから休み始めるまでに、次のことができているか確かめましょう。

診断書を受け取ったときのチェックリスト

  1. 1

    本人の話を聴き、療養に専念してよいことを伝えた休み始める社員には、安心してもらうことが大切です。

  2. 2

    人事と産業医に知らせた診断書は、決めた人だけで扱います。

  3. 3

    診断書で、休む必要・期間の見込み・働き方についての意見を確かめた期間の見込みがなければ、本人を通して主治医に確かめます。

  4. 4

    就業規則で、休職の始まり・期間・給料・期間が終わったときの扱いを確かめた年次有給休暇を使うかどうかは、本人の希望を聞きます。

  5. 5

    休める期間、給料と手続き、復職までの流れ、相談先を本人に伝えたパンフレットなど、あとで見返せる形で渡します。

  6. 6

    連絡の窓口・方法・タイミングを、本人と決めた主治医と連絡をとるときは、そのつど本人の同意を得ます。

  7. 7

    職場に伝えることを本人と相談し、必要なことだけを伝えた病名や診断書の中身は伝えません。

休み始めの対応は、そのあとの休職中の連絡や、復職の準備の土台になります。ふだんから職場を知っている産業医がいると、診断書を受け取ったその日から相談しやすくなります。

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おわりに

このコラムのまとめ

  • 休職は、主治医の診断書の提出から始まります。受け取ったら本人の話を聴き、人事と産業医に知らせます。
  • 診断書では、休む必要、期間の見込み、働き方についての意見を確かめます。
  • 休職の始まりや期間、給料の扱いは、法律ではなく会社の就業規則で確かめます。
  • 休み始める前に、手続きと復職までの流れ、相談先を伝え、連絡の窓口とタイミングを決めます。
  • 病名などの健康情報は、扱う人を決め、職場には必要なことだけを本人と相談して伝えます。

休み始めの対応は、本人が安心して療養し、無理なく職場に戻るための第一歩です。あわてずに、決めた手順で進めましょう。

詳しくは『休職から復職までの流れ:休み始めから復職後のフォローまで、会社がすること』

休職のご相談は、津山産業医事務所へ

「診断書を渡されたけれど、まず何をすればいい?」「休み始める前に、産業医に本人と話してほしい」という段階から、お気軽にご相談ください。

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出典

このコラムは、2026年10月時点の内容で書いています。