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健康診断のあとの就業判定とは? 有所見者が出たら会社がすること

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健康診断で異常の所見があった社員について、会社は、そのまま働いてよいか、働き方の配慮が要るかを、医師に聴かなければなりません。これは、会社の規模にかかわらない義務です。このコラムでは、医師の意見を聴いて働き方を決める流れ(就業判定)を、期限、医師に渡す情報、意見の3つの区分、気をつけることに分けてまとめます。

この記事でわかること

  • 就業判定とは何か、健診機関の判定とのちがい
  • 健診のあとに会社がすることと、その期限
  • 医師に渡す情報
  • 意見の3つの区分と、措置を決めるときのポイント
  • 不利益な扱いの禁止と、健康情報の扱い

01就業判定とは:医師が、働き方について意見を言うこと

健康診断で異常の所見があった人について、会社は、その人の健康を守るために必要な措置を、医師に聴かなければなりません。会社はその意見をふまえて、必要なら労働時間を短くする、仕事を変えるなどの措置をとります。この流れを「就業判定」と呼ぶことがあります。

健診機関の判定と、就業判定はちがいます

健診機関の判定

「異常なし」「要観察」「要医療」など

健康の状態についての判定です。健康診断をした医師がつけます。

就業判定(医師の意見)

「通常勤務」「就業制限」「要休業」

働き方についての意見です。会社が医師から聴き、健康診断個人票の「医師の意見」の欄に書きます。

健診の結果に「要医療」などと書いてあっても、それは働き方についての医師の意見とは別のものです。健診の結果を受け取ったら、異常の所見がある人について、働き方についての医師の意見を聴き、健康診断個人票に書いてもらいます。

対象の人は、多くの会社にいます

2025年に定期健康診断を受けた人のうち、何らかの所見があった人は59.7%でした(常時50人以上の事業場の報告から)。国の通知では、50人未満の小規模な事業場を中心に、異常の所見がある人への就業上の措置が十分に行われていないとしています。

詳しくは『健康診断の再検査、社員に受けてもらうには? 会社ができる受診のすすめ方』

02健診のあとの流れと期限

  1. 1

    結果を本人に知らせる会社

    異常の所見があってもなくても、本人に結果を知らせます。

    期限:遅滞なく

  2. 2

    医師に、結果と仕事の情報を渡す会社

    異常の所見がある人の結果と、労働時間や仕事の内容などの情報を、意見を聴く医師に渡します。

  3. 3

    医師が意見を言う医師

    働き方の配慮が要るかを判断し、健康診断個人票の「医師の意見」の欄に書きます。

    期限:健康診断の日から3か月以内

  4. 4

    本人の意見を聴き、措置を決める会社・本人

    前もって本人の意見を聴き、よく話し合って、了解を得られるよう努めます。必要に応じて、産業医も同席します。

  5. 5

    措置をとり、産業医に伝える会社

    とった(とろうとする)措置の内容を、産業医に伝えます。措置をとらない場合は、その旨と理由を伝えます。

    期限:医師の意見を聴いたあと、遅滞なく

  6. 6

    記録を残し、報告する会社

    健康診断個人票は5年間保存します。常時50人以上の事業場は、定期健康診断の結果を労働基準監督署に報告します(電子申請)。

50人未満の会社も、義務です

医師の意見を聴くことは、会社の規模にかかわらない義務です。産業医を選ぶ義務がない事業場は、国の指針で、健康管理の知識のある医師から意見を聴き、地域産業保健センター(無料)を使うことなどが適当とされています。

詳しくは『協会けんぽの健診を、会社の定期健康診断に使うには? 生活習慣病予防健診の対象・費用と、会社がすること』会社の健康診断の義務とは? 対象になる人・種類・費用と、結果が出たあとにすること『健康診断の結果が届いたら、誰から声をかける? すぐ受診が必要な値の一覧(受診勧奨判定値)と、急ぐ順の分け方』『50人未満の会社の健康管理とは? 産業医がいなくても会社がすることと、無料の地域産業保健センターの使い方』

03医師に渡す情報

健康診断の結果だけでは、働き方を判断しきれないことがあります。国の指針は、会社が必要に応じて、次のような情報や機会を医師に渡すことが適当だとしています。

作業環境

暑さ、騒音、化学物質など、働く場所の状態

労働時間

残業の時間、労働の密度

深夜業

深夜の勤務の回数と時間

仕事の中身と負担

作業のしかた、体や心への負担の状況

過去の健康診断の結果

前の年からの変化

職場を見る機会と、本人と話す機会

職場巡視や、健診の結果だけでは判断できないときの面接

医師から求められたら、すぐに渡す義務があります

2017年の改正で、意見を聴く医師から、労働者の仕事に関する情報(作業環境、労働時間、作業のしかた、作業の負担、深夜業の回数や時間など)を求められたときは、会社は速やかに渡さなければならなくなりました。

詳しくは産業医の職場巡視とは? 見るところ15項目(暑さ・換気・騒音など)と、毎月1回の決まり・当日の流れ

04意見の3つの区分と、会社が決めること

国の指針の例では、医師は次の3つの区分で意見を出します。

通常勤務

通常の勤務でよい

就業制限

勤務に制限を加え、仕事の負担を軽くする

要休業

療養のため、休暇や休職で一定の期間休む

就業制限の例(国の指針より)

労働時間の短縮出張の制限時間外労働の制限労働負荷の制限作業の転換就業場所の変更深夜業の回数の減少昼間勤務への転換

健診の結果から、働く場所や作業のしかたを見直す必要があるときは、作業環境測定や設備、作業方法の改善についても、医師の意見を求めます。

措置を決めるときのポイント

  • 本人とよく話し合う:前もって本人の意見を聴き、十分に話し合って、了解を得られるよう努めます。必要に応じて、産業医が同席します。
  • 上司に、目的と内容を説明する:措置を実際に行うのは職場です。本人のプライバシーに配慮しながら、上司に措置の目的と内容を説明し、理解を得ます。
  • 人事と健康管理の担当が連携する:医師や産業保健の担当と、人事・労務の担当が連携して進めます。
  • よくなったら、元に戻す:措置のあと健康状態がよくなったら、医師の意見を聴いて、通常の勤務に戻します。

健診の結果を理由に、不利益な扱いをしてはいけません

国の指針では、医師の意見を聴かずに不利益な扱いをすること、医師の意見と大きく違う措置をとること、健診の結果を理由に解雇する、契約を更新しない、退職をすすめる、不当な目的で配置転換や役職の変更をすることなどは、してはならないとしています。

上司に渡す情報は、必要最小限に

産業医や保健師、衛生管理者など以外の人に健康情報を扱わせるときは、措置に必要な最小限の情報に加工して渡し、診断名や検査の値などは扱わせてはいけないとされています。衛生委員会に報告するときも、個人がわからないようにまとめます。

詳しくは長時間労働者への医師の面接指導とは? 月80時間を超えたら会社がすること『健康診断で血圧がとても高い社員への対応:すぐ受診の目安と、残業・夜勤・運転など仕事の配慮』『高年齢労働者の健康管理とは? 持病に応じた就業上の配慮と、再雇用・短時間勤務の社員の健康診断』『産業医の意見書とは? 健康診断・面接指導・復職の場面ごとの様式と、会社が従わないとき・本人に見せるとき』

05会社が準備しておくこと

就業判定の準備チェック

  1. 健診の日と、医師の意見を聴く日を決めておく健康診断の日から3か月以内に、医師の意見を聴く予定を立てます。

  2. 医師に渡す仕事の情報をそろえる労働時間、深夜業、作業の内容や負担など。

  3. 健康診断個人票に、医師の意見を書いてもらう意見がはっきりしないときは、医師に内容を確かめます。

  4. 措置を決めたら、本人・上司・産業医に伝える流れを決める誰が、いつ、どこまで伝えるかを決めておきます。

  5. 健康情報を扱う人と、上司に伝える範囲を決める診断名や検査の値は、健康管理の担当の中だけで扱います。

  6. 常時50人以上の事業場は、結果を報告する定期健康診断の結果は、電子申請で労働基準監督署に報告します。

詳しくは『健康診断個人票とは? 結果の紙で足りる作り方と、医師の意見の書き方・5年保存のしかた』

国の指針は、産業医を選ぶ義務がある事業場では、産業医から意見を聴くのが適当だとしています。産業医は、働く人の健康状態だけでなく、仕事の中身や職場の環境を、くわしく知ることのできる立場だからです。

津山産業医事務所なら

  • 1

    就業判定

    健康診断の結果や面談の内容をもとに、そのまま今の業務を続けてよいか、残業の制限や配置転換などの措置が必要かを判断し、会社に意見します。

  • 2

    職場巡視

    実際に職場に足を運び、作業環境や設備、衛生状態を確認します。

  • 3

    健康診断の結果の取り扱い

    産業医として法令に基づき厳重に管理し、業務上必要な範囲以外では使用いたしません。

おわりに

このコラムのまとめ

  • 健診で異常の所見があった人について、医師の意見を聴くのは、会社の規模にかかわらない義務です。健診機関の「要医療」などの判定とは別に、働き方についての意見を聴きます。
  • 意見は健康診断の日から3か月以内に聴き、健康診断個人票に書いてもらいます。医師から仕事の情報を求められたら、速やかに渡します。
  • 措置は、本人とよく話し合って決め、上司にはプライバシーに配慮して説明します。健診の結果を理由に、不利益な扱いをしてはいけません。
  • 50人未満の事業場は、地域産業保健センターに無料で相談できます。

就業判定は、健康診断を「受けて終わり」にしないための、いちばん大事な手続きです。まずは今年の健診の日を確かめ、3か月以内に医師の意見を聴く予定を立てるところから始めましょう。

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「有所見者が出たけど、何をすればいい?」「医師の意見はどう聴けばいい?」という段階から、お気軽にご相談ください。

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出典

このコラムは、2026年10月時点の内容で書いています。