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産業医の職場巡視とは? 見るところ15項目(暑さ・換気・騒音など)と、毎月1回の決まり・当日の流れ

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常時50人以上の人が働く事業場では、産業医が少なくとも毎月1回、職場を歩いて見て回ります。これを「職場巡視」といいます。はじめて産業医を選んだ会社では、「何を見るのか」「会社は何を用意すればいいのか」がわかりにくいものです。このコラムでは、法律の決まりと言葉の意味から、巡視でよく見る15の項目(暑さ・換気・明るさ・騒音・腰痛・転倒など)とその理由、当日の流れ、改善のつなげ方までを、順番にまとめます。

職場巡視とは? 3つのポイント

  1. 何をするか:産業医が職場を実際に歩いて、作業のしかたや衛生の状態に、働く人の健康に害がありそうな所がないかを確かめます。
  2. 回数:常時50人以上の事業場で、少なくとも毎月1回(条件を満たせば2か月に1回)です。オンラインではなく、その職場に行って行います。
  3. 見るところ:暑さ・空気・明るさ・音などの環境、重い物や姿勢などの作業のしかた、トイレや休養室などの設備です。気づいたことは記録し、衛生委員会で話し合って改善につなげます。

この記事でわかること

  • 職場巡視とは何か(法律の決まりと、出てくる言葉の意味)
  • 毎月1回の決まりと、2か月に1回にできる条件
  • 衛生管理者の巡視とのちがい
  • 巡視でよく見る15の項目(暑さ・換気・明るさ・騒音・腰痛・転倒など)と、体への影響・決まり
  • 当日の流れと、気づいたことを改善につなげる方法
  • よくある質問(50人未満は? オンラインやテレワークは? 片づけは? 時間は? 記録は?)

01職場巡視とは:産業医が、実際に職場を歩いて見ること

職場巡視は、産業医が作業場などを実際に見て回り、働く人の健康に害がありそうなところがないかを確かめる仕事です。国の決まり(労働安全衛生規則 第15条)で、次のように決まっています。

見て回る人

会社が選んでいる産業医

回数

毎月1回以上

条件を満たせば、2か月に1回以上

見るもの

作業のしかたと、衛生の状態

作業のしかたや衛生の状態に、働く人の健康に害がありそうなところがあれば、産業医はすぐに、健康障害を防ぐために必要な対策をとることになっています。

現場を見ることで、わかること

  • 健康診断の結果や面談だけではわからない、仕事の中身や職場の環境を知る手がかりになります。
  • 病気やけがにつながりそうなことに、起きる前に気づくきっかけになります。
  • 健康診断のあとの意見や面接で、その職場に合った助言をするのに役立ちます。

オンラインではなく、その職場で

産業医の職場巡視は、実地で(その職場に行って)行う必要があると、国の通達で示されています。衛生委員会や面接は、条件を満たせばオンラインでもできますが、職場巡視はちがいます。

職場巡視は、産業医を選んでいる事業場の決まりです。産業医を選ぶ義務があるのは、常時50人以上の人が働く事業場です。50人未満の事業場でできることは、このコラムの最後のほうの「よくある質問」で説明します。

詳しくは産業医の選任義務とは? 人数ごとの早見表(50人・1,000人・3,001人)と、14日以内の期限・罰則従業員50人以上になったら? 会社の義務になることの一覧と期限(産業医・衛生管理者・衛生委員会・ストレスチェック)『オンライン産業医とは? 訪問する産業医とのちがい、オンラインでできない仕事と、選ぶときに確かめること』

02まず知っておきたい言葉と、決まりの強さ

職場巡視の話には、ふだん聞きなれない言葉がよく出てきます。このコラムで使う言葉を、先にまとめておきます。

このコラムに出てくる言葉

事業場
本社・支店・工場・店舗など、働く場所ごとの単位です。産業医を選ぶかどうかは、会社全体ではなく、事業場ごとの人数で決まります。
衛生管理者
常時50人以上の事業場で、会社が選ぶ衛生の担当者です。衛生管理者の免許などの資格が必要です。少なくとも毎週1回、職場を見て回ります。
衛生委員会
常時50人以上の事業場で、毎月1回以上開く、働く人の健康について話し合う会議です。産業医も委員に入ります。巡視で気づいたことも、ここで話し合います。
作業環境測定
職場の空気や音などを測って、働く人が有害なものにどのくらいさらされているかを調べることです。粉じん・暑さ寒さ・大きな騒音・決められた化学物質を扱う作業場や、建物でまとめて空調を管理している事務所などでは、決まった間隔で測り、記録することが義務です。
3つの管理
作業環境管理(職場の環境をよくする)、作業管理(作業のしかたや時間を見直す)、健康管理(健康診断や面接で一人ひとりを見る)のことです。国の腰痛予防の指針などは、この3つと、働く人への教育を組み合わせて進めることを求めています。職場巡視は、主に前の2つを現場で確かめる仕事です。
法令の名前
「労働安全衛生法」(安衛法)が大もとの法律で、細かいことは「労働安全衛生規則」(安衛則)に決まっています。事務所(事務作業をする部屋)には、「事務所衛生基準規則」(事務所則)という事務所だけの決まりが使われます。

決まりの強さは、3つに分けて見ます

義務

「しなければならない」と決まっていること。守らないと法律の違反になります。

努力義務

「するように努める」と決まっていること。できるかぎり取り組むことが求められます。

指針

国のガイドラインや指針が示す「めやす」。法律の義務ではありませんが、対策を考えるときの基準になります。

03回数:毎月1回。条件を満たせば2か月に1回

職場巡視は毎月1回以上が原則です。2017年6月からは、次の2つをどちらも満たすときに、2か月に1回以上にできるようになりました。

①

産業医が会社から、毎月1回以上、決められた2つの情報を受け取っている

かつ
②

産業医が、会社の同意を得ている

毎月渡す、2つの情報

情報1

衛生管理者の巡視の結果

衛生管理者が毎週1回の巡視で見た結果です。巡視した人の名前、日時、場所、害がありそうだと判断したことと、とった対策などを含みます。

情報2

衛生委員会で決めた情報

衛生委員会で話し合って、会社が産業医に渡すと決めた情報です。国の通達では、例として次の3つがあげられています。

  • 新しく使う予定の化学物質や設備と、その作業の内容
  • 社員が休んでいる状況
  • 健康への配慮が必要な人(労働安全衛生法 第66条の9)の名前と労働時間

2か月に1回にするまでの手順

  1. 1

    産業医が意見を言う産業医

    巡視を2か月に1回にすることと、その期間について、衛生委員会で意見を言います。

  2. 2

    衛生委員会で話し合う委員会

    回数を変えるか、どの期間にするか、産業医に渡す情報を何にするかを話し合います。

  3. 3

    会社が同意して、毎月情報を渡す会社

    話し合いの結果をふまえて会社が同意し、決めた期間のあいだ、毎月1回以上、2つの情報を産業医に渡します。

  4. 4

    期間ごとに見直す委員会

    期間が終わるたびに、産業医の意見にもとづいて、もう一度話し合います。

    例:4〜9月の6か月と決めたら、10月の委員会で見直す

毎月1回に戻るとき

決めた期間の中でも、情報が渡されなかったときや、衛生管理者の毎週1回の巡視が行われていないときは、少なくとも毎月1回の巡視が必要です。

減るのは、巡視の回数だけです

労働局の資料でも、巡視を2か月に1回にしても、衛生委員会への出席や面談、健康診断やストレスチェックの結果の確かめなど、巡視のほかの産業医の仕事が減るわけではないとしています。

回数を変えない会社も

2つの情報は、巡視を毎月1回のままにする会社でも、産業医に渡すことが望ましいとされています。また、時間外・休日労働が月80時間を超えた人の名前と時間は、巡視の回数にかかわらず、毎月の計算のあと速やかに産業医に渡すことが決まっています(労働安全衛生規則 第14条の2)。

詳しくは『産業医の職場巡視を2か月に1回にするには? 条件と手順、毎月渡す情報』『産業医の訪問は月1回必要? 法律で決まっている頻度と、会社の大きさ別の訪問のめやす』

04衛生管理者の巡視とのちがい

常時50人以上の人が働く事業場では、産業医のほかに衛生管理者も選び、職場を見て回ります。衛生管理者の人数は事業場の大きさで決まり、50〜200人の事業場なら1人以上です。産業医と衛生管理者の巡視の決まりを比べると、次のとおりです。

産業医衛生管理者
回数少なくとも毎月1回条件を満たせば2か月に1回少なくとも毎週1回
見るもの作業のしかた、衛生の状態設備、作業のしかた、衛生の状態
害がありそうなときすぐに、健康障害を防ぐために必要な対策をとるすぐに、健康障害を防ぐために必要な対策をとる
会社がすること産業医の仕事ができる権限を与える衛生に関する対策ができる権限を与える

衛生管理者は毎週、産業医は毎月と、見る間隔がちがいます。ふだんの小さな変化には、毎週見ている衛生管理者が気づきやすく、産業医は医学の知識をもとに、体への影響を考えて助言します。衛生管理者の巡視の結果を産業医に渡しておくと、産業医は、ふだんの職場の様子を知ったうえで見て回れます。

詳しくは『衛生管理者の職場巡視とは? 毎週1回の決まりと、見るところ・記録のしかた』『衛生管理者とは? 選ぶ人数・第一種と第二種のちがい、仕事と免許の取り方』

05産業医が見るところ:環境・作業・設備と、働く人の様子

法律では、産業医は作業のしかたと衛生の状態を見ることになっています。産業医の仕事のうち、「作業環境の維持管理」と「作業の管理」にあたる部分です。見るところは職場によってちがいますが、大きく分けると次の4つです。

職場の環境(作業環境管理)

  • 明るさ、まぶしさ
  • 暑さ・寒さ、湿度
  • 空気のよどみ、換気
  • 騒音、振動
  • ほこり、におい

作業のしかた(作業管理)

  • 作業の姿勢、同じ動作のくり返し
  • 重い物の持ち方・運び方
  • パソコン作業の机・いす・画面
  • 作業の時間と休憩
  • 保護具の使い方

設備と衛生の状態

  • トイレ・洗面所・休憩室・休養室
  • 整理・整頓、通路と床
  • 救急用具
  • 換気の設備
  • 化学物質の容器の表示と、置き場所

働く人の様子と声(健康管理)

  • 疲れや暑さで、具合が悪そうな人はいないか
  • 作業で困っていること
  • 健康診断のあとの配慮が、守られているか
  • 前回の巡視のあと、変わったこと

これは例です。法律で、見る項目が細かく決まっているわけではありません。よく見る項目は、次の章で15にしぼって説明します。

パソコン作業の机・いす・画面の高さを、産業医が確かめている様子のイメージ
パソコン作業の机やいす、画面の高さや明るさも、巡視で見るところです。

記録や、決めたことが守られているかも確かめます

国の審議会の資料では、産業医が職場巡視のときに確かめることがあるものとして、次のようなものもあげています。

  • 作業環境測定の結果と、局所排気装置などの点検の結果
  • 使っている化学物質の安全データシート(SDS)と、リスクアセスメントの結果
  • 作業手順書と、振動工具などを使う作業の時間
  • 健康診断のあとの配慮(就業上の措置)が、職場で守られているか

職場の種類で、見るところが変わります

オフィス

パソコン作業の姿勢、明るさ、空気、室温、座りっぱなしの時間、トイレや休養室など

工場・倉庫・作業場

騒音、粉じん・化学物質、暑さ、重い物の運び方、床と通路、保護具の使い方など

詳しくは『事務所衛生基準規則とは? オフィスの明るさ・室温・空気・トイレの基準と、職場巡視のチェックリスト』『工場・倉庫の職場巡視チェックリスト:騒音・粉じん・化学物質・暑さ・重い物など、見るところと国の決まり』『化学物質の職場巡視チェックリスト:ラベル・SDS・換気・保護具・保管など、現場で確かめるところ』『日本人は座りすぎ? 健康へのリスクと、職場でできる対策』『業種別の健康管理とは? 介護・医療・製造・建設・運送・店舗・オフィスで会社が気をつけることと、業種で変わる体制』

06職場巡視でよく見る15の項目:何を見るか、なぜ大事か

職場巡視でよく取り上げる項目を、15にまとめました。それぞれ、見るところ、なぜ大事か(体に何が起きるか)、決まりの順に書いています。決まりのバッジ(義務・努力義務・指針)の意味は、上の「決まりの強さ」のとおりです。

温度・空気・光・音(職場の環境)

1暑さ・熱中症

見るところ
暑さ指数(WBGT)を測っているか。涼しく休める場所、水分と塩分のとりやすさ。具合の悪い人を見つけたときの連絡先と手順が決まり、皆に知らされているか。
なぜ大事
熱中症は、暑い環境で体の水分や塩分のバランスがくずれたり、体温の調節がうまくいかなくなったりして起きます。重くなると命にかかわります。WBGTは、気温だけでなく、湿度や日差し・照り返しなどの熱も入れた「暑さ指数」です。
決まり
義務WBGT 28度以上か気温31度以上の場所で、続けて1時間以上か1日4時間を超える作業では、報告の体制と、悪化を防ぐ手順を決めて知らせる(2025年6月から)

くわしく『職場の熱中症対策の義務化とは? 対象の作業と3つの義務、症状・応急処置・WBGTと夏までの準備』

2寒さ・冷えすぎ

見るところ
室温と暖房、すきま風。冷房が効きすぎていないか。冷蔵・冷凍の倉庫や冬の屋外の作業では、防寒着と、暖をとれる休憩場所があるか。
なぜ大事
体が冷えると筋肉がかたくなり、腰痛を起こしたり悪くしたりしやすくなります(国の腰痛予防の指針)。冷房の効きすぎも、体の冷えにつながります。
決まり
義務事務所の室温が10度以下なら暖房などをする。冷房では、外の気温より著しく低くしない義務寒い屋内の作業場で害のおそれがあれば、暖房などで温度を調節する努力義務空調のある事務所は、室温18〜28度・湿度40〜70%に

くわしく『職場の夏バテ・冷房対策:冷えすぎ・温度差を防ぐオフィスの冷房の決まりと、会社ができること』

3空気・換気(二酸化炭素など)

見るところ
窓や換気扇、空調の換気が働いているか。人の多い部屋の空気のよどみや、におい。建物でまとめて空調を管理している事務所では、測定の記録。
なぜ大事
換気が足りないと、人の体から出る二酸化炭素などがたまります。二酸化炭素の濃さは、換気が足りているかを見る目安です。人が集まる部屋の換気が悪いと、感染症が広がりやすい状況にもなります。
決まり
義務空調や機械換気のある事務所は、送る空気の二酸化炭素を1,000ppm以下に。ppmは100万分の1で、外の空気はおよそ415〜450ppmです(国の資料)義務建物でまとめて空調を管理している事務所は、二酸化炭素・室温・湿度などを2か月以内ごとに測り、3年保存

くわしく『事務所衛生基準規則とは? オフィスの明るさ・室温・空気・トイレの基準と、職場巡視のチェックリスト』

4明るさ・まぶしさ

見るところ
机の上や作業する所の明るさ(照度計で測ります)、窓や照明のまぶしさ、画面への映り込み、暗い通路や階段。
なぜ大事
手元と周りの明るさの差が大きいと、目に負担がかかります。まぶしい光は、画面の文字を見にくくし、目の疲れの原因になります。
決まり
義務事務所は、一般的な事務作業で300ルクス以上、付随的な事務作業で150ルクス以上(ルクスは明るさの単位)。事務所以外の作業場は、作業の細かさに応じて300・150・70ルクス以上義務照明の設備は6か月以内ごとに点検する

くわしく『目の疲れ・ドライアイの職場の対策:パソコン作業で目が疲れる理由と、画面・照明・休み方のめやす』

5騒音

見るところ
大きな音を出す機械、会話に大声が要る場所、耳栓などを正しく使っているか、騒音の測定の記録。
なぜ大事
大きな音を長く聞き続けると、耳が聞こえにくくなります(騒音性難聴)。国の資料は「一度失われた聴力は元に戻りません」としています。
決まり
義務著しい騒音の屋内作業場は、6か月以内ごとに測り、3年保存。強烈な騒音の場所には耳栓などを備える指針85デシベル以上で対策を。国のガイドラインの表では、85デシベルで1日8時間、88で4時間、91で2時間と、3デシベル上がるごとに聞いてよい時間が半分になります(デシベルは音の大きさの単位)

くわしく『職場で伝えたい耳の健康:イヤホン難聴・騒音性難聴の予防と、健康診断の聴力検査の見方・会社ができること』

体に入る物・体への負担

6振動

見るところ
グラインダーやインパクトレンチなどの振動工具を、1日に使う時間を決めているか。防振手袋、工具の点検。
なぜ大事
手や腕に、しびれ・冷え・こわばりが出ることがあり、指が白くなる発作(レイノー現象)が特徴です(振動障害)。
決まり
指針工具の振動の大きさと使う時間から1日の振動の量を求め、使う時間を決める。体操や、暖房のある休憩室も

くわしく『指導勧奨による特殊健康診断とは? 義務かどうかと対象の業務一覧(騒音・VDT・腰痛・振動)、結果報告書の出し方』

7粉じん

見るところ
ほこりが舞っていないか。集じん機や局所排気装置(発生する所で吸い取る装置)が動いているか。防じんマスクの使い方、掃除のしかた。
なぜ大事
粉じんを吸い込むことで、肺に線維がふえてかたくなる「じん肺」という病気が起きることがあります。
決まり
義務決められた粉じん作業の場所では、作業環境測定や、設備・保護具などの対策が必要

くわしく『建設業の社員の健康管理:墜落・熱中症・粉じん・石綿・騒音・振動と、建設会社がすること』

8化学物質(におい・ラベル・保護具)

見るところ
容器のラベル、SDS(安全データシート)をすぐ見られるか、においがこもっていないか、換気の装置、保護手袋・めがね・マスクの使い方と置き場所。
なぜ大事
化学物質は、吸い込んだり皮膚についたりして体に入り、健康をそこなうことがあります。体への影響は、SDS(物の性質や取り扱いの注意を書いた書類)に書かれています。
決まり
義務危険・有害な物には、ラベルの表示とSDSによる情報の伝達が決まっている。使う会社は、リスクアセスメント(危険の見積もり)を行う義務皮膚や目に障害を与える物を扱うときは、保護手袋などを使わせる

くわしく『化学物質の職場巡視チェックリスト:ラベル・SDS・換気・保護具・保管など、現場で確かめるところ』『化学物質の自律的な管理とは? 化学物質管理者の選任やリスクアセスメントなど、会社がすること』

9重い物・姿勢(腰痛)

見るところ
重い物を人の力だけで持っていないか、台車やリフトなどの道具、前かがみやひねる姿勢、作業台の高さ。
なぜ大事
腰に無理な負担がかかると腰痛になります。腰痛は再発しやすい病気です。2025年の休業4日以上の労働災害では、腰痛などの「動作の反動・無理な動作」が22,166人で、2番目に多い型でした。
決まり
指針18歳以上の男性が人の力だけで扱う重さは、体重のおおむね40%以下(体重60kgなら24kgまで)。女性は、その60%くらいまで

くわしく『職場の腰痛予防対策とは? 国の指針の対策と、重い物の重さの目安(女性・18歳未満の制限)・腰痛の健康診断』

10パソコン作業(目・肩)

見るところ
画面との距離と高さ、いすと机の高さ、画面への映り込み、手元の明るさ、続けて作業する時間と休み方。
なぜ大事
目の疲れや、首・肩・腕・腰のこりや痛みが出やすくなります。
決まり
指針画面とは、おおむね40cm以上離す。書類やキーボードの上は300ルクス以上指針続けての作業は1時間を超えないようにし、次の作業までに10〜15分の休みを。その間にも1〜2回の小休止を

くわしく『肩こり・首こりの職場の対策:原因と受診の目安、パソコン作業の国のガイドライン(休み方・机・いす・画面)』『目の疲れ・ドライアイの職場の対策:パソコン作業で目が疲れる理由と、画面・照明・休み方のめやす』

職場の安全と設備

11床・通路・段差(転倒)

見るところ
床の水や油、ぬれた所、段差やでこぼこ、通路に置かれた物や電気コード、暗い所、冬の凍結。
なぜ大事
転倒は、2025年の休業4日以上の労働災害でいちばん多く、37,195人でした。国のリーフレットでは、転倒のけがの約7割が骨折です。
決まり
義務床は、つまずき・すべりなどの危険がない状態に保つ。屋内の通路は、通路面から高さ1.8m以内に障害物を置かない

くわしく『職場の転倒災害を防ぐには? 滑り・つまずき・踏み外しの原因と対策、点検のチェックリスト』

12整理整頓

見るところ
物の置き場所が決まっているか、通路がふさがれていないか、不要な物がたまっていないか、汚れや、ごみ。置き場所や掃除の担当を、会社で決めているか。
なぜ大事
通路に置いた物につまずく転倒は多く、国のリーフレットは対策として「整理、整頓(物を置く場所の指定)の徹底」をあげています。
決まり
義務通路と床を、つまずきなどの危険がない状態に保つ(転倒の項目と同じ決まり)

くわしく『5Sとは? 整理・整頓・清掃・清潔・しつけの意味と3S・4Sのちがい、職場のけがと健康を守る進め方』

13たばこ(受動喫煙)

見るところ
屋内で吸っている人がいないか、喫煙室の標識と、煙がもれていないか、屋外の喫煙場所の煙が出入口や窓から入らないか。
なぜ大事
受動喫煙(人のたばこの煙を吸うこと)は、肺がん・虚血性心疾患(心筋梗塞など)・脳卒中との関係が確かだとされています(国の報告書)。
決まり
義務事務所や工場などは、2020年4月から原則屋内禁煙(健康増進法)努力義務職場の受動喫煙を防ぐため、実情に合った対策をとる(労働安全衛生法)

くわしく『職場のたばこ対策とは? 受動喫煙を防ぐ会社の義務、喫煙室の基準・罰則と禁煙の支え方』

14トイレ・休憩室・休養室・救急用具・AED

見るところ
トイレは男女別で数が足りているか、清潔か。休憩できる場所。横になれる休養室。救急用具の中身と置き場所を皆が知っているか。AEDを置いているなら、場所の表示と日ごろの点検。
なぜ大事
具合が悪くなったときに横になれる場所や、けがの手当ての用意があると、急な体調不良やけがに、その場で対応できます。AEDの置き方のガイドライン(日本救急医療財団)は、施設の職員の全員がAEDの場所を知っていることをあげています。
決まり
義務トイレは男女別で、同時に働く人数に応じた数。救急用具を備え、場所と使い方を知らせる義務常時50人以上か、女性が常時30人以上なら、横になれる休養室を男女別に努力義務休憩の設備を設ける

くわしく『職場で社員が倒れたら? 119番・胸骨圧迫・AEDの手順と、会社が前もって決めておくこと』

15立ち仕事のいす

見るところ
ずっと立って働く人が、仕事中にときどき座れる機会があるのに、いすがないままになっていないか。
なぜ大事
立ったままの姿勢が長く続くと、腰に負担がかかります(国の腰痛予防の指針)。
決まり
義務立って続けて働く人が、仕事中にしばしば座れる機会があるときは、使えるいすを備える

くわしく『立ち仕事のいすは会社の義務? 安衛則615条・事務所則22条の決まりと、職場巡視で見るところ』

業種によっては、特別な決まりがある場所も

このほか、酸素が足りなくなるおそれのある場所(酸素欠乏危険場所)、放射線を扱う場所、石綿(アスベスト)を扱う作業などには、それぞれ特別な決まりがあります。自社に当てはまるものがあるかは、産業医や労働基準監督署に確かめましょう。

決まりの根拠:暑さ=安衛則612条の2/寒さ=事務所則4条・5条、安衛則606条/空気=事務所則3条・5条・7条/明るさ=事務所則10条、安衛則604条・605条/騒音=安衛則590条・595条、騒音障害防止のためのガイドライン/振動=振動障害予防対策指針/化学物質=安衛法57条ほか、安衛則594条の2/重い物・立ち作業=腰痛予防対策指針/パソコン=情報機器作業ガイドライン/床・通路=安衛則542条・544条/たばこ=健康増進法、安衛法68条の2/トイレなど=安衛則613条・618条・628条・633条、事務所則21条・23条/いす=安衛則615条、事務所則22条

07当日の流れと、会社が準備すること

1回の職場巡視の流れの例です。会社ごとに、進めやすい形に合わせてください。

  1. 1

    前もって、情報を渡す会社

    前回の指摘とそのあとの様子、衛生管理者の巡視の結果、新しい設備や化学物質・作業の変更、けがや病気で休んでいる人の状況などを伝えます。

  2. 2

    職場を一緒に回る産業医・会社

    衛生管理者や職場の責任者が一緒に回ると、その場で説明ができ、改善の相談もしやすくなります。

  3. 3

    働く人の話を聞く産業医

    作業のしかたや、困っていることを、その場で聞きます。

  4. 4

    気づいたことを伝える産業医

    見終わったあとに、よかった点と、改善したい点を伝えます。

  5. 5

    記録して、衛生委員会で報告する会社

    気づいたことと、改善の予定を記録し、衛生委員会で報告します。

産業医と会社の担当者が、作業中の社員の話を聞いている様子のイメージ
一緒に回る人がいると、その場で作業の説明や、改善の相談ができます。

前もって用意しておくとよいもの(例)

職場の配置図前回の指摘と、そのあとの対策衛生管理者の巡視の記録作業環境測定の結果新しく使う設備・化学物質の情報けがや病気で休んでいる人の人数

時間のめやす(当事務所の例)

職場巡視にかける時間は、法律では決まっていません。当事務所では、1時間の訪問なら、次のように分けるのをめやすにしています。

職場巡視

20分

衛生委員会

20分

面談

1人20分

巡視の20分の回り方(当事務所の例)

巡視の20分は、たとえば次の順番で回ります。前回の指摘から確かめ、最後に一緒に回った人とふり返ると、改善につなげやすくなります。

回る順番時間のめやすすること
① 前回の指摘を確かめる約3分前回の記録を見ながら、直った所と、まだの所を見ます。
② 作業場を回る約10分作業中の様子を見て、働く人の話を聞きます。
③ 休憩室・トイレ・救急用具など約2分休める場所や、救急用具の置き場所を見ます。
④ ふり返り約5分よかった点と改善したい点、直す順番を、一緒に回った人と話します。

これは当事務所の例です。広い工場や作業の種類が多い職場では、月ごとに見る場所を分けるなど、産業医と相談して決めましょう。

衛生委員会と同じ日にすると

巡視のあとに衛生委員会を開くと、見てきたことを、その日のうちに話し合えます。

詳しくは『産業医の訪問日の準備:面談の調整・渡す情報・部屋と、当日の時間割の例』

08気づいたことを、職場の改善につなげる

職場巡視は、見て回るだけでは終わりません。気づいたことを記録し、改善して、次の巡視で確かめるところまでが大切です。

  1. 見る

    職場巡視

  2. 記録する

    気づいたこと

  3. 話し合う

    衛生委員会

  4. 改善する

    担当と期限

  5. 確かめる

    次の巡視で

次の巡視で確かめたら、また見るところから。くり返して、職場を少しずつよくしていきます。

直す順番:まず元から、保護具は最後に

国の指針(危険性又は有害性等の調査等に関する指針)は、法律で決まった対策を必ず行ったうえで、次の順番で対策を考えるとしています。保護具は大切ですが、使い方しだいで効き目が変わるので、元から減らす対策を先に考えます。

  1. 1

    なくす・変える

    危ない作業をやめる、やり方を変える、より害の少ない物に変える

  2. 2

    設備で防ぐ

    局所排気装置をつける、音の出る機械を囲う、台車やリフトを入れる

  3. 3

    やり方と時間を決める

    作業の手順書をつくる、立ち入りを禁止する、作業する時間を短くする

  4. 4

    保護具を使う

    耳栓、マスク、保護手袋、保護めがねなどを、正しく使ってもらう

命にかかわるおそれがあるときは

重い病気やけがにつながるおそれがあるのに、きちんとした対策に時間がかかるときは、まず仮の対策をすぐにとるよう、同じ指針が求めています。

よくある気づきと、改善の例

巡視でよく見つかることと、改善の例です。すぐに直せるものも多くあります。改善の例の頭には、上の「直す順番」のどの段にあたるかを付けました。

気づいたこと気になる理由改善の例
通路や非常口の前に、段ボールや台車が置いてあるつまずいて転ぶおそれがあり、いざというときに逃げにくくなります。③やり方置き場所を床の線などで決め、「通路には置かない」を職場の決まりにします。
小分けして保管しているボトルに、中身の名前が書いていない何の薬品かわからず、まちがって使ったり、吸いこんだりするおそれがあります。③やり方名前と体への影響を、容器に書くかラベルを貼ります。決められた化学物質は、別の容器に移して保管するときも、これを示すことが決まっています(2023年4月から)。
救急用具の置き場所を、社員が知らないけがをしたときに、手当てが遅れます。③やり方置き場所と使い方を社員に知らせ、いつも清潔にしておきます。どちらも会社の義務です。
パソコンの画面が近い・見上げる位置にある目の疲れや、肩・首のこりの原因になります。②設備画面は目からおおむね40cm以上はなし、画面の上の端が目の高さとほぼ同じか、やや下になるようにします。
重い箱を、1人で持ち上げている腰痛の原因になります。②設備③やり方重さを箱に書き、めやす(男性は体重のおおむね40%以下)を超える物は、台車を使うか2人で運びます。
体調が悪い人が、横になって休める場所がない具合が悪いまま、働き続けることになります。②設備常時50人以上(または女性30人以上)の事業場では、横になれる休養室か休養所を、男性用と女性用に分けて設けることが決まっています。

これは例です。見るところや直し方は、職場によって変わります。

会社が産業医に与える権限

会社は、産業医が仕事をできるように、権限を与えることが決まっています。その中には、次の3つが含まれます(労働安全衛生規則 第14条の4)。

  • 会社(または総括安全衛生管理者)に意見を言うこと
  • 仕事に必要な情報を、働く人から集めること
  • 働く人の健康を守るために緊急に必要なとき、働く人に、必要な対策をとるよう指示すること

産業医からの勧告と、衛生委員会

産業医は、働く人の健康を守るために必要だと認めるときは、会社に勧告(改善を求めること)ができます。会社は、勧告を尊重しなければなりません。

  • 産業医は、勧告をする前に、その内容について会社の意見を聞きます。
  • 会社は、勧告の内容と、それをふまえてとった対策(とらないときは、その理由)を記録し、3年間保存します。
  • 会社は、勧告の内容と対策を、遅れずに衛生委員会に報告します。
  • 産業医は、働く人の健康を守るために必要なことを、衛生委員会で話し合うように求めることができます。
  • 勧告や助言をしたことを理由に、産業医をやめさせるなど、不利益に扱ってはいけません。

詳しくは『職場巡視の報告書の書き方:記録の例と、指摘を改善につなげる方法』衛生委員会の開き方:月別の議題の例と、議事録の書き方

09よくある質問

50人未満の会社でも、職場巡視は必要ですか?

職場巡視は、産業医を選んでいる事業場の決まりです。常時50人未満の事業場は、産業医を選ぶ義務がないので、この決まりもありません。ただし、明るさ・トイレ・救急用具などの衛生の決まりは、多くが人数にかかわらず守る必要があります。50人未満の事業場は、医師などに健康管理をしてもらうように努めることになっていて(努力義務)、地域産業保健センターに頼むと、医師に作業場を巡視してもらい、改善の助言を受けられます(原則無料)。また、10人以上50人未満の事業場では、衛生推進者(業種によっては安全衛生推進者)を選ぶことが決まっています。

くわしく『50人未満の会社の健康管理とは? 産業医がいなくても会社がすることと、無料の地域産業保健センターの使い方』

職場巡視は、オンライン(ビデオ通話)でできますか?

できません。国の通達で、産業医の定期の巡視は実地で(その職場に行って)行う必要があるとされています。衛生委員会への出席や医師の面接は、条件を満たせばオンラインでも行えます。

社員の多くがテレワークでも、職場巡視は必要ですか?

必要です。産業医を選んでいる事業場では、テレワークの人が多くても、少なくとも毎月1回(条件を満たせば2か月に1回)の巡視の決まりは変わりません。社員の自宅には、事務所衛生基準規則などの決まりは一般には当てはまりませんが、国のテレワークのガイドラインは、チェックリスト(労働者用)を使って自宅の作業環境を社員に確かめてもらい、問題があれば会社と社員で協力して直すことをすすめています。

くわしく『テレワークの健康管理:自宅の作業環境・労働時間・メンタルヘルスで会社がすることと、国のチェックリスト』

忙しい月や、産業医の都合がつかない月は、巡視を休んでもいいですか?

休めません。巡視は少なくとも毎月1回が決まりです。予定した日に都合が悪くなったら、同じ月の別の日に行いましょう。2か月に1回にしたいときは、衛生委員会で話し合って会社が同意し、決められた情報を毎月産業医に渡すなどの手順が必要です。産業医がなかなか来てくれないときは、会社には選んだ産業医に仕事を行わせる責任がある(労働安全衛生法 第13条)ので、訪問の日の決め方を話し合い、契約で訪問の回数や仕事の範囲を確かめましょう。

くわしく産業医が来ない・何もしてくれないときは? 名義だけの産業医のリスクと、話し合い方・変え方『産業医の契約書のひな形:決めておく8つの項目と印紙、産業医を変えるときの手続き』

毎月、同じ場所を見るのですか?

法律では、毎回どこを見るかまでは決まっていません。広い事業場では、1年でひととおり回れるように場所を分けて計画を立てるのも一つの方法です。そのうえで、季節(夏の前は暑い場所など)、新しい設備・化学物質・作業の変更があった場所、前回の指摘の場所、衛生管理者の巡視で気になった場所を先に見ると、むだがありません(このコラムの考えです)。

巡視の日の前に、掃除や片づけをしておいたほうがいいですか?

ふだんのままで大丈夫です。職場巡視は、ふだんの職場で、作業のしかたや衛生の状態に健康をそこなうおそれがないかを確かめるものです。その日だけ片づけると、本当の問題が見えにくくなります。通路をふさがないことなどは、巡視の日に限らず、日ごろから続けましょう。

社長や担当者も、一緒に回らないといけませんか?

一緒に回ることは、法律の決まりではありません。ただ、衛生管理者や職場の責任者が一緒に回ると、その場で作業の説明ができ、改善の相談や、誰が・いつまでに直すかも決めやすくなります。

1回の巡視には、どのくらい時間がかかりますか?

法律で決まった時間はありません。当事務所では、1時間の訪問なら、職場巡視20分・衛生委員会20分・面談1人20分をめやすにしています。職場の広さや見る場所の数で変わるので、訪問の時間と回数は、産業医と相談して決めましょう。見終わったら、気づいたことを一緒に回った人とその場で話しておくと、改善につなげやすくなります。

くわしく『産業医の訪問日の準備:面談の調整・渡す情報・部屋と、当日の時間割の例』

指摘されたことは、すぐに全部直さないといけませんか?

すぐには直せないこともあります。危ないものや、多くの人にかかわるものから順番をつけ、誰が・いつまでに直すかを決めて、次の巡視で確かめましょう。重い病気やけがにつながるおそれがあるのに、対策に時間がかかるときは、まず仮の対策をすぐにとります。ただし、産業医から勧告を受けたときは、会社はその内容を尊重しなければならず、勧告の内容と、それをふまえてとった対策(とらないときは、その理由)を記録して3年間保存します。

巡視の記録は、何年残せばいいですか?

産業医の巡視の報告書には、法律で決まった様式も、保存の年数もありません。ただし、巡視の結果を話し合った衛生委員会の議事録(委員会の意見と、それをふまえてとった対策など)と、産業医から勧告を受けたときの記録は、3年間の保存が決まっています。巡視の報告を委員会で取り上げ、議事録と一緒に残しておくと安心です。巡視を2か月に1回にするときは、衛生管理者の巡視の結果(名前・日時・場所・判断したこと・とった対策)を毎月産業医に渡します。

10職場巡視を始める・見直すときのチェック

はじめて産業医を選んだときも、今の職場巡視を見直すときも、次のことを確かめておきましょう。

職場巡視の準備のチェックリスト

  1. 巡視の日を、毎月の予定に入れる産業医が来る日を決めておきます。衛生委員会と同じ日にするのも、一つの方法です。

  2. 一緒に回る人を決める衛生管理者や職場の責任者が一緒に回ると、その場で説明や相談ができます。

  3. 産業医に渡す情報をそろえる衛生管理者の巡視の結果、前回の指摘のそのあと、作業環境測定の結果、新しい設備や化学物質、休んでいる人の状況などです。

  4. 指摘を記録し、委員会で報告する流れを決める誰が記録し、いつまでに改善し、次の巡視で誰が確かめるかを決めます。

  5. 2か月に1回にするなら、手順をふむ産業医の意見をもとに衛生委員会で話し合い、期間を決めて、会社が同意します。毎月の情報も、忘れずに渡します。

  6. 産業医の仕事の内容を、社員に知らせる職場巡視を含む産業医の仕事の具体的な内容、健康相談の申し出の方法、健康情報の取り扱い方を、掲示や書面で知らせることが決まっています(労働安全衛生法 第101条)。

巡視の前に会社でも職場を見ておくと、当日の話がスムーズです。15の項目をチェックリストにしました。

職場巡視で見るところの15のチェック

  1. 暑さ暑さ指数(WBGT)を測り、熱中症の報告の体制と手順を、皆に知らせている

  2. 寒さ室温は適切で、冷房が効きすぎていない。寒い場所の作業には防寒の用意がある

  3. 空気・換気換気が働き、空気がよどんでいない

  4. 明るさ手元が暗くなく、まぶしさや画面への映り込みがない

  5. 騒音大きな音の場所で測定し、耳栓などを正しく使っている

  6. 振動振動工具を使う時間を決め、防振手袋を使っている

  7. 粉じんほこりが舞っておらず、集じん機や排気の装置が動いている

  8. 化学物質容器にラベルがあり、SDSをすぐ見られ、保護具を正しく使っている

  9. 重い物・姿勢人の力だけで重い物を扱っておらず、台車などの道具がある

  10. パソコン作業画面の距離と高さ、いすと机が合っていて、休みをとっている

  11. 床・通路ぬれ・段差・電気コード・置かれた物がない

  12. 整理整頓物の置き場所が決まり、通路がふさがれていない

  13. たばこ屋内で吸っておらず、喫煙場所の煙がもれていない

  14. トイレ・休養室・救急用具数と清潔さ、横になれる場所、救急用具とAEDの場所を皆が知っている

  15. 立ち仕事のいす座れる機会があるのに、いすがない所はない

職場巡視を形だけにしないためには、見て気づいたことを、改善までつなげることが大切です。

津山産業医事務所なら

  • 1

    職場巡視で、改善策までご提案

    実際に職場を歩いて、作業環境や設備、衛生状態を確かめ、改善が必要な点と具体的な改善策をご提案します。

  • 2

    代表の産業医が、自ら伺います

    産業医科大学で産業医学ディプロマを取得した代表の産業医が、職場巡視や衛生委員会に伺います。訪問は14府県が中心です。

  • 3

    衛生委員会にも出席します

    衛生委員会(安全衛生委員会)に出席し、専門の立場から意見を述べます。

おわりに

このコラムのまとめ

  • 産業医は、少なくとも毎月1回、職場を実際に歩いて見ます。オンラインではなく、その職場で行います。
  • 決められた2つの情報を毎月渡し、衛生委員会で話し合って会社が同意すれば、2か月に1回にできます。
  • 衛生管理者は、少なくとも毎週1回、職場を見て回ります。その結果を産業医に渡すと、巡視に役立ちます。
  • よく見るのは、暑さ・寒さ・空気・明るさ・騒音・振動・粉じん・化学物質・重い物・パソコン作業・床と通路・整理整頓・たばこ・トイレや休養室・立ち仕事のいすの15の項目です。
  • 決まりには、義務・努力義務・国の指針のめやすがあります。直すときは、まず元から減らし、保護具は最後に考えます。
  • 気づいたことは記録し、衛生委員会で話し合い、改善して、次の巡視で確かめます。

職場巡視は、産業医が職場を知るための大切な機会です。毎月の巡視を、働きやすい職場づくりの小さな一歩につなげていきましょう。

産業医の仕事の全体は産業医とは? 仕事内容と役割を、会社の側からやさしく解説

職場巡視のご相談は、津山産業医事務所へ

「うちは対象?」「何から始めればいい?」という段階から、お気軽にご相談ください。

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メール:tsuyama-sangyoi@tsuyama-sangyoi.com

出典

このコラムは、2026年10月時点の内容で書いています。