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インフルエンザで社員は何日休む? 職場の出勤停止のめやすと給料、家族がかかったとき

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インフルエンザにかかった社員に何日休んでもらうか、職場について法律の決まりはありません。会社のめやすを決めるときは、学校の出席停止の決まり「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」が参考になります。

今年(2026年)は、国が8月28日に流行入りを発表しました。1999年に感染症法が施行されてから2番目に早い流行入りで、10月上旬には、昨年の同じ時期の5倍をこえる患者が報告されています。休むめやすと給料の扱い、家族がかかったときの出勤を、流行が大きくなる前に決めておきましょう。

この記事でわかること

  • 今シーズンの流行と、国の対策の考え方
  • うつる期間と、休むめやす(新型コロナとのちがい)
  • 会社の出勤ルールと、休むときの給料の扱い
  • 職場で広げない毎日の対策と、ワクチン
  • 衛生委員会で話し合うことと、チェックリスト
  • 家族がかかったときの出勤と、看病で休むとき

01今シーズンは、流行が早く始まっています

今年の流行入りの発表

8月28日

1999年以来、2番目に早い流行入り

例年の流行シーズン

12月〜3月

日本では、例年この時期に流行します

例年の流行のピーク

1月末〜3月上旬

ワクチンは12月中旬までに

厚生労働省「令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」(令和8年9月30日版)のQ4・Q27から。

国のQ&Aでは、新型コロナの流行のあと、インフルエンザの流行が始まる時期がこれまでとちがう年があるとしています。2024年も、例年より早く本格的な流行が起き、12月にピークをむかえました。

国が10月16日に発表した、10月5日〜11日の1週間の数字では、決められた医療機関1か所あたりの患者の報告数が、全国で12.81人でした。前の週の11.35人から増えていて、昨年の同じ時期(2.36人)の5倍をこえています。

厚生労働省「インフルエンザの発生状況について」(令和8年10月16日)から。国の数字は、毎週発表されます。

国は「急性呼吸器感染症(ARI)」としてまとめて対策

国は、インフルエンザや新型コロナなど、鼻・のどや、気管支・肺に急に起こる感染症をまとめて「急性呼吸器感染症(ARI)」としてとらえ、発生の状況をつかむことや対策を、1年を通して一体で進めています。手洗い、マスク、換気などの対策が効果的だとしています。

02うつる期間と、休むめやす

インフルエンザにかかった人は、発症の前の日から、発症したあと3〜7日間、ウイルスを出しているといわれています。とくに発症してから1〜3日間は、出すウイルスの量が多いため、外出をひかえる必要があります。熱が下がったあともウイルスを出していることがあるため、せきなどの症状が続くときは、不織布マスクをつけます。

学校の出席停止の決まり

国のQ&Aでは、学校について、学校保健安全法施行規則で「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」を出席停止の期間としていることを紹介しています。職場について何日休むかは示されていないので、会社のめやすを決めるときは、この決まりが参考になります。

数え方の例(発症の日の2日あとに熱が下がったとき)

発症の日

熱が出る

1日目

休む

2日目

熱が下がる

3日目

休む

4日目

休む

5日目

休む

6日目

出勤できる

日数は、発症した日や熱が下がった日の翌日から数えます(文部科学省が新型コロナの出席停止について示した数え方)。この例では、「発症した後5日」をみたすのが5日目の終わり、「熱が下がった後2日」をみたすのが4日目の終わりなので、6日目からになります。熱が下がるのがおそく4日目に下がったときは、6日目の終わりまで休み、7日目からになります。

新型コロナとのちがい

インフルエンザ新型コロナ
ウイルスを出す期間発症の前の日から、発症後3〜7日間発症の2日前から、発症後7〜10日間
とくに気をつける期間発症後1〜3日間(ウイルスの量が多い)発症後5日間(ほかの人にうつすリスクが高い)
学校の出席停止発症後5日、かつ、熱が下がってから2日(幼児は3日)発症後5日、かつ、症状が軽くなってから1日

国のQ&AのQ18をもとにまとめました。

詳しくは『職場の麻しん(はしか)・風しん対策:社員がかかったときの対応と、ワクチン2回の確かめ方』

03会社の出勤ルールを決めておく

社員がかかったときに、上司ごとに対応がちがうと、本人も職場も迷います。次のことを前もって決め、社員に知らせておきましょう。

決めておくことの例

症状があるとき
熱やせきなどがあるときは、無理に出勤しないこと。国のQ&Aでも、無理をして学校や職場などに行かないよう呼びかけています。
休むめやす
かかったときに、何日休むか。学校の出席停止の決まりなどを参考に決めます。
連絡のしかた
誰に、何を連絡するか(休む日数のめやす、熱が下がった日など)。
証明書
かかったことや、治ったことの証明書は求めないこと。
給料の扱い
本人が自分で休む場合と、会社の判断で休ませる場合を、どう扱うか。
仕事の引きつぎ
休む人が出たときに、仕事をどう回すか。

証明書は、求めなくて大丈夫です

国のQ&Aでは、かかったことの証明書(り患証明書・陽性証明書)や、治ったことの証明書(治癒証明書・陰性証明書)は、医療機関に過剰な負担をかける可能性があることなどから、職場が社員に提出を求めることは望ましくなく、提出は不要だとしています。

休むときの給料の扱い

国は新型コロナについて、社員を休ませるときの考え方を次のように示しています。インフルエンザで会社のルールを決めるときにも参考になります。

休み方扱い
本人が、自分の判断で休むふだんの病気の休みと同じように扱います。会社に病気休暇の制度があれば、それを使うことなどが考えられます。
症状があるというだけで、会社の判断で一律に休ませる一般的に「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたり、休業手当(平均賃金の6割以上)を払う必要があります(労働基準法 第26条)。
年次有給休暇を使う社員が請求する時季に与えるのが原則なので、会社が一方的に取らせることはできません。

厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」をもとにまとめました。一人ひとりの場合の判断は、労働基準監督署や社会保険労務士にも確かめてください。

詳しくは感染症の出勤停止・就業制限の一覧:法律で休ませる病気と、会社が決める病気・給料の扱い

04職場で広げない:毎日の対策

手洗い

流水と石けんで手を洗い、手についたウイルスを落とします。アルコールによる手指の消毒も効果があります。

換気

季節を問わず、十分な換気が大切です。冬は暖房を使いながら、こまめに換気します。向かい合う窓やドアを開けると、空気が入れかわりやすくなります。

湿度

乾燥しやすい部屋では、加湿器などで湿度を50〜60%に保つことも効果的です。

せきエチケット

せきやくしゃみが出るときは、不織布マスクをつけます。マスクがないときは、ティッシュや腕の内側で口と鼻をおおい、顔をほかの人に向けないようにします。

国のQ&AのQ14・Q15をもとにまとめました。十分な睡眠とバランスのとれた食事で、体の抵抗力を保つことも大切です。

会社がマスクをお願いすることは

国のQ&Aでは、マスクをつけるかどうかは個人の判断にゆだねられるものとしたうえで、会社が感染対策や事業上の理由などで、社員や利用する人にマスクをお願いすることは許されるとしています。障害の特性などでマスクがつけにくい人には、差別などが起きないよう十分に配慮します。

オフィスの湿度の決まりも確かめる

エアコンのある事務所では、事務所衛生基準規則で、湿度を40%以上70%以下にするよう努めることになっています。冬は乾燥しやすいので、職場巡視のときに湿度も確かめます。

詳しくは『事務所衛生基準規則とは? オフィスの明るさ・室温・空気・トイレの基準と、職場巡視のチェックリスト』『職場のノロウイルス対策:社員が吐いたときの処理と消毒液の作り方、出勤のめやす』『職場の手荒れ対策:水仕事・手洗い・化学物質で起きる接触皮膚炎と、手袋・保湿で会社ができること』

05ワクチン:受けやすくする工夫

インフルエンザワクチンは、かかること(感染)を完全におさえるものではありません。それでも、発病をおさえる効果が一定程度あり、発病したあとの重症化や死亡をふせぐ効果も期待されています。

  • 12月中旬までに
    例年、流行のピークは1月末〜3月上旬なので、国は12月中旬までに接種を終えるのが望ましいとしています。
  • 65歳以上の人などは、定期接種の対象
    65歳以上の人と、60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能やHIVによる免疫の機能に重い障害がある人は、予防接種法にもとづく定期接種の対象です。それ以外の人は、希望して受ける任意の接種です。

国のQ&AのQ23・Q27・Q30をもとにまとめました。

会社ができる後押しの例

受けやすくする工夫の例

流行の前に、接種の時期を案内する勤務時間中に接種に行けるようにする費用の一部を補助する近くで受けられる医療機関を案内する

どれも例です。会社によってできることはちがいます。接種するかどうかは、本人が決めます。

健康経営の認定の項目にも

健康経営優良法人の認定の項目には、「感染症の予防」の取り組みも入っています。インフルエンザ対策は、健康経営の取り組みの1つにもなります。

詳しくは『健康経営優良法人の認定を受けるには? 中小企業の条件と、申請の流れ・日程』『職場で伝えたい大人のワクチン:帯状疱疹の定期接種と、肺炎球菌・風しん、会社ができること』

06衛生委員会で話し合い、チェックリストで確かめる

出勤のルールや対策は、衛生委員会で話し合って決めると、職場の実情に合ったものになります。流行の前に議題にすると、ワクチンの案内にも間に合います。今年は流行入りが早かったので、早めに話し合っておくと安心です。

詳しくは衛生委員会の開き方:毎月の議題の例と、議事録の書き方

インフルエンザ対策のチェックリスト

  1. 1

    症状があるときは、無理に出勤しないことを社員に伝えた上司からも、休みやすい声かけをします。

  2. 2

    かかったときに休むめやすを決めた学校の出席停止の決まりなどを参考にします。

  3. 3

    休むときの給料の扱いを決めた会社の判断で休ませるときは、休業手当が必要になることがあります。

  4. 4

    かかったことや治ったことの証明書は求めないことにした国のQ&Aで、提出は不要とされています。

  5. 5

    手洗い・換気・湿度・せきエチケットの準備をした石けん、手指の消毒用のアルコール、加湿器、マスクなど。

  6. 6

    ワクチンの時期を案内し、受けやすい工夫を考えた12月中旬までの接種が望ましいとされています。

  7. 7

    多くの人が休んだときの、仕事の回し方を決めた引きつぎの方法や、代わりの担当など。

  8. 8

    家族がかかった社員の出勤と、看病で休むときの扱いを決めた症状がないときの出勤、体調の確かめ方、使える休暇など。

07家族がかかったとき、社員は出勤してよい?

流行の時期には、「子どもがインフルエンザになった。自分は元気だけれど、出勤してよい?」という相談がよくあります。家族がかかっても、本人に症状がなければ、出勤を止める法律の決まりはありません。会社としての扱いを、前もって決めておきましょう。

本人に症状がないとき

  • ふだんどおり出勤できます
    家族がかかったことだけを理由に、出勤を止める決まりはありません。
  • 数日は、毎朝体調を確かめる
    インフルエンザは、うつってから数日で、熱やのどの痛みなどが出ます。家族がかかってから数日は、出勤の前に、熱やせき、のどの痛みがないかを確かめてもらいます。
  • 職場では、マスクと手洗い
    症状が出る前にうつすこともあるため、数日はマスクと手洗いを心がけてもらうと安心です。
  • 症状が出たら、出勤しない
    熱などが出たら出勤せずに連絡してもらい、職場で具合が悪くなったら早めに帰ってもらいます。

国のQ&AのQ18(発症の前の日からウイルスを出す)・Q23(数日の潜伏期間)をもとにまとめました。

家族の看病で休むとき

休み方ポイント
年次有給休暇社員が請求した日に取れるのが原則です。
子の看護等休暇小学校3年生までの子の看病や、学級閉鎖のときの世話のために取れます。1年に5日(子が2人以上なら10日)まで。原則として、会社は申し出を断れません。給料を払うかどうかは、会社の決まりによります。
会社の特別休暇家族の看病のための休暇を、会社が独自に決めることもできます。

子の看護等休暇は、育児・介護休業法 第16条の2・第16条の3にもとづく休暇です。

会社の判断で休んでもらうとき

働けるのに、家族がかかったというだけで会社の判断で一律に休んでもらうと、休業手当(平均賃金の6割以上)が必要になることがあります。在宅勤務ができる仕事なら、数日は在宅勤務にしてもらうのも1つの方法です。

重症になりやすい人と接する職場では

介護施設や病院など、高齢の方や持病のある方と接する職場では、家族がかかった職員の働き方(体調の確かめ方、担当の変え方など)を、施設として前もって決めておくと安心です。

対策は、決めるだけでなく、社員に伝わって続けられることが大切です。職場を知っている産業医がいると、職場に合った形で進めやすくなります。

津山産業医事務所なら

  • 1

    衛生講話

    メンタルヘルス、生活習慣病予防、感染症対策など、社員の方向けの健康に関する講話・研修を実施します。

  • 2

    職場巡視

    職場巡視で職場の環境を確かめ、改善策をご提案します。

  • 3

    衛生委員会への出席

    衛生委員会(安全衛生委員会)への出席に対応しています。季節ごとの健康の議題にも、産業医として加わります。

おわりに

このコラムのまとめ

  • 今年は、8月28日に流行入りが発表されました。例年の流行は12月〜3月、ピークは1月末〜3月上旬です。
  • インフルエンザは発症の前の日から発症後3〜7日間ウイルスを出し、とくに発症後1〜3日間は量が多くなります。
  • 職場について休む日数は国から示されていないので、学校の出席停止の決まりなどを参考に、会社のめやすを決めます。
  • 会社の判断で一律に休ませると、休業手当が必要になることがあります。証明書は求めなくて大丈夫です。
  • 手洗い・換気・湿度・せきエチケットと、12月中旬までのワクチンで、職場で広げないようにします。
  • 家族がかかっても、本人に症状がなければ出勤できます。数日は毎朝体調を確かめ、扱いを前もって決めておきます。

インフルエンザは毎年のことだからこそ、ルールを一度決めておくと、毎年あわてずにすみます。流行が大きくなる前に、職場で話し合っておきましょう。

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出典

このコラムは、2026年10月時点の内容で書いています。