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ストレスチェックとは? 全体をやさしく解説

執筆者
ストレスチェックの用紙と、職場の人たちの模型

ストレスチェックは、働く人が年に1回、質問票に答えて、自分のストレスの状態を知るしくみです。いまは働く人が50人以上の事業場で義務になっていて、2028年4月からは50人未満の事業場でも義務になります。このコラムでは、全体をひととおり説明します。

この記事でわかること

  • ストレスチェックの目的と、しなければならない会社
  • 対象になる人と、50人の数え方
  • 準備から報告までの、1年の流れ
  • 結果の扱い、医師の面接、会社がしてはいけないこと
  • 報告と罰則、始め方
  • 質問の例と、「高ストレス」の決め方
  • よくある質問(受ける義務・費用・勤務時間・休職中の人など)

01ストレスチェックとは

ストレスチェックは、働く人が質問票に答えて、自分のストレスの状態を知るための検査です。労働安全衛生法という法律で決まっていて、2015年12月に始まりました。

目的

① 本人が自分のストレスに気づく

② 職場の環境を良くする

回数

1年以内ごとに

1回

質問票

「ストレスの原因」「心と体の反応」「周りの支え」の3つを必ず入れます

国のおすすめは57問(短い版は23問)

いちばん大切なこと

病気を見つけるための検査ではない、ということです。心の不調になる前に、早めに気づいて手を打つためのしくみです。

質問の例(国の57問から)

国がすすめる「職業性ストレス簡易調査票」(57問)は、次のような質問です。それぞれ4つの答えから、いちばんあてはまるものを選びます。

分野質問の例答え方(4段階)
ストレスの原因仕事について・17問「非常にたくさんの仕事をしなければならない」「時間内に仕事が処理しきれない」などそうだ/まあそうだ/ややちがう/ちがう
心と体の反応最近1か月の状態・29問「活気がわいてくる」「ひどく疲れた」などほとんどなかった/ときどきあった/しばしばあった/ほとんどいつもあった
周りの支え上司・同僚・家族など・9問「次の人たちはどのくらい気軽に話ができますか?」など(上司、職場の同僚、配偶者・家族・友人等のそれぞれについて)非常に/かなり/多少/全くない

このほかに、仕事と家庭生活の満足度をたずねる2問があります(高ストレスかどうかの判定には使いません)。厚生労働省「職業性ストレス簡易調査票」より。

詳しくは『ストレスチェックは何のため? 目的と質問票』

02しなければならない会社

いま義務があるのは、働く人が50人以上いる事業場です。2028年4月1日からは、50人未満の事業場でも義務になります。

いま

働く人が50人以上の事業場

義務

2028年4月1日から

50人未満の事業場も

義務

50人の数え方

  • 「事業場」は、会社全体ではなく、本社・支店・工場など、場所ごとに数えます。
  • 50人には、正社員だけでなく、続けて雇っているパート・アルバイトを入れます。週1回だけ出勤する人も入ります。
  • 受け入れている派遣の人も、派遣先の人数に入ります。

たとえば、こんな事業場

正社員 40人 パート 6人 派遣 5人

合計 51人 なので、義務があります

正社員だけで数えて「うちは50人未満」と思っている会社は、一度数え直してみてください。

詳しくは産業医・ストレスチェックの「50人」の数え方:パートや派遣の人も入ります50人未満の事業場もストレスチェックが義務に(2028年4月から)

03ストレスチェックの対象になる人

対象になるのは、健康診断の対象と同じ人です。「50人に数える人」とは別なので、注意してください。

  • 正社員は、全員が対象です。
  • パートや契約社員などは、次の①と②の両方に当てはまる人が対象です。呼び方や国籍は関係ありません。
①

期間の定めがない契約か、1年以上働く見込みがある(すでに1年以上働いている人も入ります)

かつ
②

週の労働時間が、同じ仕事をする正社員の4分の3以上

働く人50人に数える?ストレスチェックの対象?
正社員数える対象
①と②の両方に当てはまるパート・契約社員数える対象
それ以外のパート・アルバイト(週1回の人も)数える対象ではない①に当てはまり、正社員のおおむね2分の1以上働く人には、実施が望ましい
受け入れている派遣の人数える派遣元の会社が実施する

なお、社員に「受ける義務」はありません。会社は対象の人全員に受ける機会を用意し、できるだけ多くの人に受けてもらうようにします。

詳しくは『ストレスチェックの対象になる人:パート・休職中・出向などの場合』

041年の流れ

ストレスチェックは、質問票に答えて終わりではありません。準備から報告まで、次の流れで進めます。

  1. 1

    準備会社

    衛生委員会などで、時期・やり方・実施者・結果の扱いを話し合って決めます。決めたことは社内のルール(規程)にして、社員に知らせます。

  2. 2

    実施実施者

    社員が質問票に答えます。実施者は、医師・保健師や、研修を受けた看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理師です。

  3. 3

    結果の通知実施者→本人

    結果は、実施者から本人に直接届けます。

  4. 4

    面接の申し出本人→会社

    高ストレスで面接が必要とされた人が、希望すれば申し出ます。

  5. 5

    医師の面接医師

    申し出があれば、会社は医師による面接を行います。

  6. 6

    医師の意見と対応医師→会社

    会社は医師の意見を聞き、必要なら仕事の内容や時間を見直します。

  7. 7

    集団分析と職場の改善実施者・会社

    部署ごとの結果をまとめて、職場の改善に使います。

  8. 8

    報告会社

    50人以上の事業場は、年に1回、労働基準監督署に報告します。

社員が自分の机で、パソコンを使ってストレスチェックの質問に答えている様子のイメージ
質問票には、パソコンなどで答える方法も、紙に書いて答える方法もあります。

事務を手伝う人について

会社の中で、実施者の指示のもと、質問票の配布や回収、入力を手伝う人を決めることもできます。ただし、社長や人事部長など、社員の人事を決める権限がある人は、この仕事をできません。

詳しくは『ストレスチェックの進め方:準備から報告まで』『ストレスチェックの実施者と事務の担当者、誰が何をする?』

05結果と個人情報

ストレスチェックの結果は、本人の同意がなければ、会社は見ることができません。社員が安心して正直に答えられるようにするための決まりです。

  • 結果は、実施者から本人に直接届けます。封をした封筒や、本人しか見られないメールなどで届けます。
  • 会社が結果を受け取るには、結果が本人に届いたあとで、本人の同意を取ります。受ける前に「結果を会社に出します」と同意を取ることはできません。
  • 実施者や、事務を手伝う人には、法律で秘密を守る義務があります。
  • 同意を得て会社が受け取った結果は、5年間保存します。

詳しくはストレスチェックの結果は会社に知られる? 会社が見られる情報・見られない情報と、同意の取り方

「高ストレス」は、どう決まる?

高ストレスかどうかは、答えの点数で決めます。国のマニュアルの例(57問の合計点を使う方法)では、次のどちらかにあてはまる人を高ストレスとします。点数は、ストレスが高い答えほど高くなるように数えます。

①

「心と体の反応」(29問)の合計が77点以上

または
②

「ストレスの原因」と「周りの支え」(あわせて26問)の合計が76点以上で、かつ「心と体の反応」が63点以上

この例の基準は、受けた人のおおむね10%が高ストレスになるように作られています。実際の基準は、実施者の意見と、衛生委員会などでの話し合いをふまえて、会社が決めます。

「やや高め」などの書き方は、国の決まりではありません

結果の書き方は、使うソフトや外部の会社によってちがいます。「やや高め」「注意」などと書かれていても、高ストレスの判定とは別のことがあります。気になるときは、結果についている相談先や、実施者に確かめてください。また、高ストレスと出ても、それだけで心や体の病気があるという意味ではありません。

06高ストレスと判定されたら:医師の面接

高ストレスで、実施者が「面接が必要」と判断した人が申し出たら、会社は医師による面接を行います。面接を受けるかどうかは、本人が決めます。

結果が届く

1か月以内

申し出

1か月以内

医師の面接

1か月以内

医師の意見を聞く

目安は、結果が届いてから申し出まで、申し出から面接まで、面接から医師の意見を聞くまで、それぞれおおむね1か月以内です。

医師の意見は3つに分かれます

面接をした医師は、会社に意見を伝えます。意見は次の3つに分かれます。

いつもどおり働いてよい

仕事を制限する

休む

  • 申し出ない人には、実施者から面接をすすめたり、相談の窓口を案内したりします。
  • 会社は、本人の話も聞いたうえで、労働時間を短くする、仕事の内容を変えるなどの対応をします。
  • 面接の記録は、5年間保存します。

詳しくは高ストレスと判定されたら? 医師の面接の流れストレスチェックの面接のあと、会社がすること:医師の意見と働き方の配慮

07会社がしてはいけないこと

次のことを理由に、社員を不利に扱ってはいけません

  • ストレスチェックを受けないこと
  • 結果を会社に出すことに、同意しないこと
  • 面接を申し出たこと、または申し出ないこと

不利な扱いとは、たとえば次のようなことです。

解雇契約を更新しないこと退職をすすめること不当な異動

面接の結果を理由にした解雇や、医師の意見とかけ離れた対応も、してはいけません。

詳しくはストレスチェックで管理職がしてはいけないこと:部下への声かけのOK・NGと、結果の扱い

08集団分析と職場の改善

部署やチームごとに結果をまとめる「集団分析」をして、職場の改善に使うことが、会社の努力義務になっています。

  • 個人が分からない形でまとめるので、会社が受け取るのに本人の同意はいりません。
  • ただし、10人未満の集団では個人が分かるおそれがあるので、全員の同意がなければ、会社はその結果を受け取れません。

結果は、次のことを見直すきっかけにします

仕事の量仕事のやり方職場の人間関係上司や同僚の支え

詳しくは『ストレスチェックの集団分析とは? 結果を職場の改善につなげる方法』

09労働基準監督署への報告と罰則

50人以上の事業場は、1年以内ごとに1回、実施の結果を労働基準監督署に報告します。いまは、電子申請が原則です。

50人以上の事業場50人未満の事業場
(2028年4月から)
ストレスチェックの実施義務義務
労働基準監督署への報告必要1年以内ごとに1回いらない
  • 報告する人数は、対象になる人の数です。派遣の人や、対象でないパートの人は入れません。
  • ストレスチェックをしないことそのものには、罰則はありません。

罰金の対象になること

報告をしない、またはうその報告をすると、50万円以下の罰金の対象になります。

罰則がないところでも、社員の心と体の健康に気を配ることは、会社の責任(安全配慮義務)です。

詳しくは『ストレスチェックの罰則は? 実施しない・報告しないときと、労基署への報告のしかた』

10始め方

始め方は、大きく分けて次の2つです。どちらでも、会社のことをよく知っている産業医が実施者になるのが望ましいとされています。

国の無料ソフトを使う

費用ソフト代は0円

厚生労働省の「ストレスチェック実施プログラム」を使います。実施者(医師・保健師など)は別に必要です。

外部の会社に任せる

費用委託料がかかる

社内の手間は少なくなります。会社の産業医が「共同実施者」に入ると、高ストレスの人に産業医から面接をすすめられます。

外部の会社だけに任せると、産業医は本人が申し出るまで結果を見られず、面接やそのあとの対応につながりにくくなります。

詳しくはストレスチェックの始め方:外部に任せる? 自社で行う?『産業医がストレスチェックの共同実施者になると、何ができる?』

11よくある質問:受ける義務・費用・休職中の人など

社員は、受けないといけない?

社員に受ける義務はありません。治療中で負担が大きい人などにまで、無理に受けさせる必要はないためです。ただし国は、制度を役立てるために、全員が受けることが望ましいとしています。会社は受ける機会を用意して声をかけ、受けない人を不利に扱ってはいけません。

結果は、会社に知られる?

個人の結果は、実施者から本人に直接届きます。会社が受け取れるのは、結果が届いたあとで、本人が同意したときだけです。なお、受けたかどうかは結果ではないので、会社が知って、受けていない人に声をかけることはできます。

費用は、誰が払う?

会社です。法律で会社に実施の義務があるので、ストレスチェックと医師の面接の費用は、会社が負担します。会社の外の病院で面接を受けるときも、健康保険は使えません。

勤務時間中に受ける? 給料は出る?

受ける時間の給料をどうするかは、法律では決まっておらず、会社と社員で話し合って決めます。国は、健康診断と同じように、給料を払うことが望ましいとしています。

休職中の人も、受ける?

実施の時期に休職している人は、受けなくてもかまいません。出張など仕事の都合で受けられなかった人には、別に受ける機会を用意します。

高ストレスと出なくても、産業医に相談できる?

できます。点数で高ストレスにならなくても、つらさを感じている人はいます。国の指針は、結果と一緒に、面接の申し出の窓口とは別の相談の窓口も知らせ、相談しやすい環境をつくることが望ましいとしています。高ストレスと出るように答えを変える必要はありません。正直に答えて、結果にかかわらず相談してください。

詳しくはストレスチェックの結果は会社に知られる? 会社が見られる情報・見られない情報と、同意の取り方『ストレスチェックの対象になる人:パート・休職中・出向などの場合』

面接や職場の改善までしっかりつなげるには、産業医がはじめから実施者として関わるのが近道です。

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    ストレスチェックだけのご依頼もお受けします。50人未満の会社の、2028年4月に向けた準備のご相談もどうぞ。

おわりに

ストレスチェックは、受けて終わりではありません。高ストレスの人への面接や、職場の改善までつなげることで、社員の休職や離職を防ぐことにつながります。

ストレスチェックのご相談は、津山産業医事務所へ

「うちは対象?」「何から始めればいい?」という段階から、お気軽にご相談ください。

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